脂質の種類別「良い油」と「悪い油」一覧:選び方・使い方の完全ガイド

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「脂質」は私たちの体にとって必要不可欠な栄養素ですが、その中には「良い油」と「悪い油」が存在します。この記事では、脂質を構成する脂肪酸の種類から、健康をサポートするオメガ3・6・9脂肪酸を豊富に含む油(アマニ油、オリーブオイル、青魚の油など)の選び方や効果的な使い方を徹底解説。さらに、摂りすぎると健康リスクを高める飽和脂肪酸やトランス脂肪酸(マーガリン、加工食品など)の危険性とその避け方も詳述します。これを読めば、日々の食事で賢く油を選び、健康的な食生活を送るための実践的な知識が身につきます。

  1. 1. 脂質とは?良い油と悪い油を分ける脂肪酸の種類
    1. 1.1 脂肪酸の基本分類 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
    2. 1.2 良い脂質とは?健康に良い油の定義
    3. 1.3 悪い脂質とは?健康に悪い油の定義
  2. 2. 健康に良い油 オメガ3 オメガ6 オメガ9脂肪酸の全て
    1. 2.1 オメガ3脂肪酸の効能と含まれる良い油
      1. 2.1.1 アマニ油 えごま油 選び方と使い方
      2. 2.1.2 青魚の油 DHAとEPAの重要性
    2. 2.2 オメガ6脂肪酸の役割と注意すべき良い油
      1. 2.2.1 リノール酸を多く含む油とその摂取バランス
    3. 2.3 オメガ9脂肪酸の特性と健康に良い油
      1. 2.3.1 オリーブオイルの選び方と効果的な使い方
      2. 2.3.2 アボカドオイルや米油も良い油?
  3. 3. 健康に悪い油 避けるべき飽和脂肪酸とトランス脂肪酸
    1. 3.1 飽和脂肪酸の摂りすぎによるリスクと悪い油
      1. 3.1.1 動物性脂質 肉の脂や乳製品の注意点
      2. 3.1.2 ココナッツオイルは良い油?悪い油?
    2. 3.2 最も避けたいトランス脂肪酸とは
      1. 3.2.1 マーガリン ショートニングに潜む危険性
      2. 3.2.2 加工食品に含まれる悪い油の見分け方
  4. 4. 良い油の選び方と悪い油を避ける実践ガイド
    1. 4.1 良い油を選ぶ際のポイント
      1. 4.1.1 鮮度と保存方法 酸化を防ぐには
      2. 4.1.2 低温圧搾 エキストラバージン表示の確認
    2. 4.2 調理法別 良い油の賢い使い方
      1. 4.2.1 生食におすすめの油と加熱調理に適した油
      2. 4.2.2 油の種類と加熱温度の関係
    3. 4.3 日常生活で悪い油を避けるコツ
      1. 4.3.1 外食や加工食品の選び方
      2. 4.3.2 食事全体の脂質バランスを考える
  5. 5. まとめ

1. 脂質とは?良い油と悪い油を分ける脂肪酸の種類

私たちの体にとって必要不可欠な栄養素の一つである脂質は、エネルギー源となるだけでなく、細胞膜やホルモンの構成要素、脂溶性ビタミンの吸収促進など、生命活動を維持する上で多岐にわたる重要な役割を担っています。しかし、脂質と一口に言っても、その種類は様々であり、健康に良い影響を与える「良い油」と、過剰摂取によって健康リスクを高める可能性のある「悪い油」が存在します。

この良い油と悪い油を区別する鍵となるのが、脂質を構成する最小単位である「脂肪酸」の構造です。脂肪酸の化学構造の違いが、体内でのはたらきや健康への影響を大きく左右します。

1.1 脂肪酸の基本分類 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪酸は、その化学構造、特に炭素原子間の結合の仕方によって大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類に分類されます。この分類が、食品に含まれる油の性質や、私たちの体への影響を理解する上で最も基本的な知識となります。

飽和脂肪酸は、炭素原子間の結合がすべて単結合で構成されており、水素原子で「飽和」しているため、構造が安定しています。この安定性から、常温で固体の状態を保つものが多く、主に動物性の脂質や一部の植物油に含まれます。

一方、不飽和脂肪酸は、炭素原子間に二重結合を一つ以上持つ脂肪酸です。二重結合の数によって、さらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分けられます。不飽和結合があるため構造が不安定で、常温では液体の状態を保つものがほとんどです。主に植物性の油や魚の油に多く含まれています。

種類特徴主な供給源常温での状態
飽和脂肪酸炭素間の二重結合がない。構造が安定している。肉の脂身、バター、ラード、ココナッツオイル、パーム油など固体
不飽和脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)炭素間の二重結合が1つある。オリーブオイル、アボカドオイル、菜種油、ナッツ類など液体
不飽和脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)炭素間の二重結合が2つ以上ある。体内で合成できない「必須脂肪酸」を含む。アマニ油、えごま油、青魚(DHA・EPA)、大豆油、コーン油など液体

1.2 良い脂質とは?健康に良い油の定義

「良い脂質」とは、主に不飽和脂肪酸、特に多価不飽和脂肪酸に分類されるオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸、そして一価不飽和脂肪酸であるオメガ9脂肪酸を指します。これらの脂肪酸は、私たちの健康維持に欠かせない様々なポジティブな効果をもたらします。

具体的には、細胞膜の構成成分として細胞の機能を正常に保つ、ホルモンや生理活性物質の材料となる、血液中のLDL(悪玉)コレステロール値を低下させ、HDL(善玉)コレステロール値を維持する働きがある、炎症を抑制する作用を持つ、脳や神経系の発達と機能維持に寄与する、といった効果が挙げられます。特に、体内で合成できないオメガ3とオメガ6脂肪酸は「必須脂肪酸」と呼ばれ、食事から摂取することが不可欠です。

良い脂質を適切に摂取することは、心血管疾患のリスク低減、脳機能の向上、アレルギー症状の緩和、肌の健康維持など、全身の健康増進に繋がります。

1.3 悪い脂質とは?健康に悪い油の定義

「悪い脂質」とは、主に飽和脂肪酸の過剰摂取や、人工的に生成されるトランス脂肪酸を指します。これらの脂質は、摂取量が多すぎると健康に悪影響を及ぼすリスクが高まります。

飽和脂肪酸は、適量であればエネルギー源として重要ですが、過剰に摂取すると血液中のLDL(悪玉)コレステロール値を上昇させ、心臓病や脳卒中などの心血管疾患のリスクを高めることが指摘されています。また、肥満やメタボリックシンドロームの一因となる可能性もあります。

さらに深刻なのはトランス脂肪酸です。これは、液体の植物油を加工して固形にする際に生成される特殊な不飽和脂肪酸で、天然に存在するものはごくわずかです。トランス脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増加させるだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを減少させるという二重の悪影響をもたらし、心血管疾患のリスクを著しく高めることが多くの研究で示されています。また、炎症反応の促進やインスリン抵抗性への関与も懸念されています。

これらの悪い脂質は、加工食品や外食に多く含まれる傾向があり、意識的に摂取を控えることが健康を守る上で重要です。

2. 健康に良い油 オメガ3 オメガ6 オメガ9脂肪酸の全て

オメガ脂肪酸の種類と健康効果 オメガ3 必須脂肪酸 抗炎症作用 心血管保護 脳機能改善 視力改善 代表的な油 アマニ油・えごま油 青魚(DHA・EPA) ※加熱厳禁 冷蔵保存必須 オメガ6 必須脂肪酸 細胞膜構成 過剰摂取注意 炎症促進リスク 代表的な油 大豆油・コーン油 紅花油・ひまわり油 摂取量をコントロール オメガ9 非必須脂肪酸 酸化しにくい 加熱調理OK コレステロール改善 代表的な油 オリーブオイル アボカドオイル・米油 加熱調理に最適 理想的な摂取バランス オメガ3 1 オメガ6 2-4 オメガ9 適量 現代人はオメガ6が過多(1:10~20) オメガ3を意識的に増やし、オメガ6を控えめに

私たちの健康維持に不可欠な「必須脂肪酸」を含む油は、体内で生成できないため食事から摂る必要があります。特に重要なのが、オメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸です。これらの油はそれぞれ異なる役割を持ち、バランス良く摂取することが健康への鍵となります。

2.1 オメガ3脂肪酸の効能と含まれる良い油

オメガ3脂肪酸は、現代人が最も不足しがちな必須脂肪酸の一つです。その代表的な成分には、植物由来のα-リノレン酸(ALA)と、魚介類に豊富なエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)があります。これらは体内で抗炎症作用を発揮し、心血管疾患の予防、脳機能の維持、視力改善など多岐にわたる健康効果が期待されています。

2.1.1 アマニ油 えごま油 選び方と使い方

アマニ油とえごま油は、α-リノレン酸(ALA)を豊富に含む植物性油です。ALAは体内でEPAやDHAに変換されますが、変換効率は個人差があります。これらの油は非常に酸化しやすいため、選び方と使い方に注意が必要です。

油の種類主な特徴選び方のポイント効果的な使い方
アマニ油α-リノレン酸(約50~60%)を豊富に含む。熱に非常に弱い。低温圧搾(コールドプレス)、遮光瓶入り、開封後は冷蔵保存。加熱せず、ドレッシング、ヨーグルト、スムージーにかける。
えごま油α-リノレン酸(約60%以上)を豊富に含む。アマニ油と同様に熱に弱い。低温圧搾(コールドプレス)、遮光瓶入り、開封後は冷蔵保存。加熱せず、和え物、味噌汁、納豆にかける。

これらの油は、加熱すると酸化しやすくなり、健康効果が損なわれるだけでなく、有害物質を生成する可能性もあります。そのため、必ず加熱せずに摂取することが重要です。

2.1.2 青魚の油 DHAとEPAの重要性

DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、主に青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸です。これらは体内で直接利用されやすく、特にその抗炎症作用や血液をサラサラにする効果は、心臓病や脳卒中のリスク低減に寄与するとされています。また、DHAは脳や神経の発達に不可欠であり、記憶力や学習能力の維持にも関わります。

成分主な効能多く含む食品
DHA脳機能の向上、視力維持、神経細胞の保護マグロ(特にトロ)、カツオ、ブリ、サバ、イワシ
EPA血液サラサラ効果、中性脂肪低下、抗炎症作用サバ、イワシ、サンマ、アジ

週に2~3回、青魚を食事に取り入れることで、DHAとEPAを効率的に摂取することができます。刺身や煮魚、焼き魚など、様々な調理法で積極的に摂り入れましょう。

2.2 オメガ6脂肪酸の役割と注意すべき良い油

オメガ6脂肪酸も、体内で生成できない必須脂肪酸の一つであり、細胞膜の構成や生理活性物質の生成に不可欠な役割を果たします。代表的なものにリノール酸があります。しかし、現代の食生活では、オメガ6脂肪酸の摂取量が過剰になりがちであり、これが健康問題を引き起こす可能性が指摘されています。

2.2.1 リノール酸を多く含む油とその摂取バランス

リノール酸は、様々な植物油に豊富に含まれており、一般的なサラダ油の主成分でもあります。適量の摂取は健康に必要ですが、過剰な摂取は体内で炎症を促進する物質の生成を促し、アレルギー症状の悪化や動脈硬化のリスクを高める可能性があります。

油の種類リノール酸含有量(目安)注意点
大豆油約50%一般的なサラダ油の主成分。加工食品にも広く使用。
コーン油約50%揚げ物や炒め物によく使われる。
ひまわり油約60%高リノール酸タイプに注意。高オレイン酸タイプもある。
ごま油約40%香りが良く、料理の風味付けに。
紅花油約75%リノール酸の含有量が特に高い。

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の理想的な摂取比率は、一般的に1:2から1:4程度とされていますが、現代人の多くは1:10〜1:20といったオメガ6過多の状態にあります。このバランスを改善するためには、リノール酸を多く含む油の摂取を控えめにし、代わりにオメガ3脂肪酸を意識的に増やすことが重要です。

2.3 オメガ9脂肪酸の特性と健康に良い油

オメガ9脂肪酸は、体内で合成可能な不飽和脂肪酸であり、必須脂肪酸ではありませんが、健康維持に重要な役割を果たします。その代表的な成分はオレイン酸です。オメガ9脂肪酸は酸化しにくく、熱にも比較的強いため、加熱調理にも適しています。

2.3.1 オリーブオイルの選び方と効果的な使い方

オリーブオイルは、オレイン酸を豊富に含む代表的な油です。特に「エキストラバージンオリーブオイル」は、オリーブの果実を物理的な方法だけで搾ったもので、風味豊かで抗酸化物質も多く含まれています。

種類特徴選び方のポイント効果的な使い方
エキストラバージンオリーブオイル一番搾りで酸度0.8%以下。ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富。フルーティーな香り。「エキストラバージン」表示、遮光瓶、原産国、収穫年。生食(サラダ、パンにつける)、加熱調理(炒め物、揚げ物にも比較的強い)。
ピュアオリーブオイル精製オリーブオイルとバージンオリーブオイルのブレンド。風味はマイルド。一般的な加熱調理用として。炒め物、揚げ物など日常の加熱調理全般。

オリーブオイルは、その抗酸化作用により悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減らし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を維持する効果が期待されています。日常的に取り入れることで、生活習慣病の予防に役立ちます。

2.3.2 アボカドオイルや米油も良い油?

オリーブオイル以外にも、オメガ9脂肪酸を豊富に含む油として、アボカドオイルや米油があります。これらも健康に良い影響をもたらし、様々な料理に活用できます。

油の種類主な特徴健康効果使い方
アボカドオイルオレイン酸が豊富(約70%)。発煙点が高く(約250℃)、加熱調理に非常に強い。コレステロール値の改善、抗酸化作用、肌の健康維持。揚げ物、炒め物、ローストなど高温調理全般、ドレッシング。
米油オレイン酸とリノール酸のバランスが良い。γ-オリザノール、トコトリエノールなど抗酸化成分が豊富。コレステロール値の改善、抗酸化作用、米独特の風味。揚げ物(カラッと揚がる)、炒め物、製菓。

これらの油も、オメガ9脂肪酸の特性である酸化しにくさを持ち合わせているため、日常の食卓で積極的に取り入れることで、よりバランスの取れた脂質摂取に繋がります。

3. 健康に悪い油 避けるべき飽和脂肪酸とトランス脂肪酸

脂質の中には、過剰な摂取が健康リスクを高める「悪い油」が存在します。特に注意すべきは飽和脂肪酸とトランス脂肪酸です。これらは、心血管疾患のリスクを高めることが科学的に示されています。

3.1 飽和脂肪酸の摂りすぎによるリスクと悪い油

飽和脂肪酸は、主に動物性食品に多く含まれる脂質です。過剰に摂取すると、血中のLDL(悪玉)コレステロールを増加させ、動脈硬化や心臓病のリスクを高めることが知られています。

3.1.1 動物性脂質 肉の脂や乳製品の注意点

バター、ラード、肉の脂身(バラ肉、鶏肉の皮など)、生クリーム、チーズなどの乳製品には、飽和脂肪酸が多く含まれています。これらは美味しいですが、摂取量には注意が必要です。

食品の種類具体例摂取のポイント
肉類牛肉の脂身、豚バラ肉、鶏肉の皮赤身を選ぶ、皮を取り除く
乳製品バター、生クリーム、チーズ適量を守る、低脂肪を選ぶ
動物性油脂ラード植物油への置き換えを検討

3.1.2 ココナッツオイルは良い油?悪い油?

ココナッツオイルは、健康志向の人々の間で注目されていますが、その約90%が飽和脂肪酸で構成されています。これは、バターやラードよりも高い割合です。

しかし、ココナッツオイルに含まれる飽和脂肪酸の多くは「中鎖脂肪酸」であり、一般的な動物性脂質に含まれる「長鎖脂肪酸」とは代謝経路が異なります。中鎖脂肪酸は肝臓で速やかに分解されエネルギーになりやすい特性を持つ一方で、長鎖脂肪酸は体内に蓄積されやすい傾向があります。

そのため、ココナッツオイルは一部で「良い油」と見なされることもありますが、飽和脂肪酸であることに変わりはなく、過剰摂取はやはりLDLコレステロール値の上昇につながる可能性があります。特に心臓疾患のリスクがある方やコレステロール値が高い方は、摂取量に注意し、他の不飽和脂肪酸を多く含む油とのバランスを考えることが重要です。

3.2 最も避けたいトランス脂肪酸とは

トランス脂肪酸は、天然の食品にはごく微量しか存在しないにもかかわらず、加工の過程で人工的に生成されることが多く、健康への悪影響が特に懸念される脂質です。不飽和脂肪酸に水素を添加して固形にする「部分水素添加」という加工によって生成されます。

3.2.1 マーガリン ショートニングに潜む危険性

トランス脂肪酸の主な供給源は、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなどの加工油脂です。これらは、パン、ケーキ、クッキー、揚げ物、スナック菓子など、多くの加工食品に使用されています。

トランス脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増加させるだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを減少させるという二重の悪影響を及ぼします。これにより、心臓病や脳卒中などの心血管疾患のリスクが著しく高まることが、世界中の研究で指摘されています。

食品の種類具体例摂取のポイント
油脂製品マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドバターや植物油への置き換えを検討
菓子・パンクッキー、パイ、菓子パン、ドーナツ頻繁な摂取を避ける
揚げ物・加工食品フライドポテト、インスタントラーメン、冷凍食品の一部原材料表示を確認する習慣をつける

3.2.2 加工食品に含まれる悪い油の見分け方

日本ではトランス脂肪酸の表示義務はありませんが、加工食品の原材料表示を確認することで、ある程度の見分けが可能です。

原材料名に「ショートニング」「マーガリン」「ファットスプレッド」「植物油脂」「加工油脂」といった表記がある場合、トランス脂肪酸が含まれている可能性があります。特に「部分水素添加油脂」という表記があれば、トランス脂肪酸が含まれている可能性が高いです。

完全に避けることは難しいですが、これらの表示がある食品の摂取頻度を減らすことや、手作りで油の種類を選べる料理を増やすことが、健康的な食生活を送る上での重要なポイントとなります。

4. 良い油の選び方と悪い油を避ける実践ガイド

健康的な食生活を送る上で、どのような油を選び、どのように使うかは非常に重要です。ここでは、良質な油を見極め、日々の食事に賢く取り入れるための具体的な方法と、避けるべき油を遠ざけるための実践的なヒントをご紹介します。

4.1 良い油を選ぶ際のポイント

スーパーマーケットの棚には様々な油が並んでいますが、その中から本当に良い油を見つけるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

4.1.1 鮮度と保存方法 酸化を防ぐには

油は光、熱、空気、そして金属に触れることで酸化が進み、品質が劣化します。酸化した油は風味を損なうだけでなく、体内で過酸化脂質となり健康に悪影響を及ぼす可能性があります。良い油を選び、その品質を保つためには、以下の点に注意しましょう。

  • 少量ずつ購入する: 油は開封すると酸化が始まるため、使用頻度や量に合わせて、できるだけ少量で新鮮なものを購入し、早めに使い切るようにしましょう。

  • 遮光瓶を選ぶ: 光による酸化を防ぐため、色の濃い遮光瓶に入った油を選ぶのが理想的です。透明な容器に入った油は、購入後すぐに遮光性の容器に移し替えることをおすすめします。

  • 冷暗所で保存する: 熱は油の酸化を促進します。直射日光が当たる場所やガスコンロの近くなど、温度が高くなる場所は避け、戸棚の中など涼しく暗い場所で保存しましょう。アマニ油やえごま油などのオメガ3系脂肪酸を多く含む油は特に酸化しやすいため、開封後は冷蔵庫での保存が推奨されます。

  • 密閉して保存する: 空気に触れる面積を減らすため、使用後はしっかりと蓋を閉め、密閉して保存することが大切です。

4.1.2 低温圧搾 エキストラバージン表示の確認

油の製造方法も、その品質を大きく左右します。栄養素が豊富で、より自然な形で抽出された油を選ぶためには、以下の表示に注目しましょう。

  • 低温圧搾(コールドプレス): 油を抽出する際に、熱や化学溶剤を使わず、物理的な圧力だけで絞り出す製法です。この方法で抽出された油は、熱に弱いビタミンや抗酸化物質などの栄養素が損なわれにくく、素材本来の風味や香りが保たれています。特にアマニ油、えごま油、オリーブオイルなどでこの表示があるかを確認しましょう。

  • エキストラバージン: 主にオリーブオイルに使われる最高品質のグレードを示す表示です。オリーブの実を傷つけずに収穫し、低温で丁寧に圧搾することで得られる、酸度が低く風味豊かな油を指します。化学処理や精製は一切行われていません。

  • 一番搾り: 原料を一度だけ絞って得られた油であることを示します。二番搾り以降の油は、化学溶剤を使って抽出されることが多く、品質や栄養価が劣る場合があります。

これらの表示がない「精製油」は、高温処理や化学処理によって不純物を取り除き、無味無臭に加工された油です。安価で安定していますが、その過程で栄養素が失われていることが多いため、健康を意識するなら低温圧搾やエキストラバージン表示のある油を選ぶことをおすすめします。

4.2 調理法別 良い油の賢い使い方

油の種類によって、熱に対する安定性や風味が異なります。それぞれの油の特性を理解し、調理法に合わせて使い分けることが、栄養を最大限に活かし、おいしく安全に油を摂取する鍵となります。

4.2.1 生食におすすめの油と加熱調理に適した油

油にはそれぞれ最適な調理温度があります。熱に弱い油を加熱すると、酸化が進みやすくなるため注意が必要です。

生食におすすめの油:

オメガ3脂肪酸を豊富に含むアマニ油やえごま油、そしてエキストラバージンオリーブオイルは、熱に弱く酸化しやすい性質を持つため、加熱せずに生で摂取することが推奨されます。サラダのドレッシング、ヨーグルトやスムージーに混ぜる、パンにつけるなどして、風味と栄養をそのまま取り入れましょう。

  • アマニ油、えごま油: 熱に非常に弱いため、加熱調理には不向きです。ドレッシングや和え物、納豆にかけるなど、料理の仕上げに少量加えるのがおすすめです。

  • エキストラバージンオリーブオイル: 豊かな香りと風味が特徴で、生食に最適です。パンにつけたり、サラダやカルパッチョ、マリネにかけることで、料理の味わいを一層引き立てます。

加熱調理に適した油:

加熱調理には、酸化しにくく発煙点(煙が出始める温度)が高い油を選びましょう。発煙点が高い油は、高温にしても比較的安定しています。

  • オリーブオイル(ピュア、ライト): エキストラバージンよりも精製度が高く、発煙点も高いため、炒め物や揚げ物など一般的な加熱調理に適しています。ただし、長時間高温での調理は避けましょう。

  • 米油: 日本人に馴染み深く、発煙点が高く酸化しにくいのが特徴です。揚げ物や炒め物に適しており、素材の味を邪魔しない軽やかな風味です。

  • 菜種油(キャノーラ油): 比較的安価で汎用性が高く、発煙点も高いため、日常的な炒め物や揚げ物によく使われます。ただし、リノール酸(オメガ6)の含有量が多いものもあるため、摂取バランスには注意が必要です。

  • アボカドオイル: 発煙点が非常に高く、炒め物や揚げ物、オーブン料理など幅広い加熱調理に使えます。クセが少なく、まろやかな風味が特徴です。

4.2.2 油の種類と加熱温度の関係

油は種類によって「発煙点」が異なります。発煙点とは、油を加熱した際に煙が出始める温度のことで、この温度を超えると油は劣化し、体に有害な物質が発生しやすくなります。調理法に応じた適切な油の選択と温度管理が重要です。

油の種類主な脂肪酸発煙点(目安)適した調理法備考
アマニ油、えごま油オメガ3100℃前後生食(ドレッシング、和え物)加熱厳禁。酸化しやすい。
エキストラバージンオリーブオイルオメガ9180~200℃生食、軽めの炒め物香りが豊か。長時間加熱は避ける。
オリーブオイル(ピュア、ライト)オメガ9210~230℃炒め物、揚げ物汎用性が高い。
米油オメガ9、オメガ6230~250℃揚げ物、炒め物酸化しにくく、揚げ物がカラッと仕上がる。
菜種油(キャノーラ油)オメガ9、オメガ6200~230℃炒め物、揚げ物汎用性が高いが、オメガ6過多に注意。
アボカドオイルオメガ9250~270℃揚げ物、炒め物、オーブン料理非常に発煙点が高い。
ごま油(焙煎)オメガ9、オメガ6170~200℃風味付け、炒め物香りが強いため、少量使用。

揚げ物をする際は、油の温度を適切に保ち、一度使用した油はできるだけ早く使い切るか、適切に処理しましょう。繰り返し使うと油の酸化が進みやすくなります。

4.3 日常生活で悪い油を避けるコツ

私たちの食生活には、意識しないうちに悪い油が入り込んでいることがあります。特に外食や加工食品は、そのリスクが高い傾向にあります。日々の選択で悪い油を避けるための具体的な方法を身につけましょう。

4.3.1 外食や加工食品の選び方

外食や加工食品は、どのような油が使われているか見えにくいのが難点です。しかし、いくつかのポイントを知っていれば、リスクを減らすことができます。

  • 揚げ物や加工肉に注意: 外食の揚げ物や、ソーセージ、ハムなどの加工肉には、安価な植物油や飽和脂肪酸が多く含まれていることがあります。特に、トランス脂肪酸を生成しやすい部分水素添加油が使われている可能性も否定できません。頻繁な摂取は控えめにしましょう。

  • 菓子パンやスナック菓子、レトルト食品の原材料表示を確認: これらの食品には、「植物油脂」「加工油脂」「ショートニング」「マーガリン」「ファットスプレッド」といった表示がある場合、トランス脂肪酸や質の悪い飽和脂肪酸が含まれている可能性があります。特に「ショートニング」や「マーガリン」は、製造過程でトランス脂肪酸が発生しやすいため、避けるべき代表的なものです。

  • シンプルな調理法のメニューを選ぶ: 外食では、炒め物や揚げ物よりも、焼き魚、蒸し料理、刺身、和え物など、油の使用量が少ない、あるいは良質な油が使われている可能性が高いメニューを選ぶと良いでしょう。

  • 「植物油脂」の表示に注意: 加工食品の原材料表示で「植物油脂」とだけ記載されている場合、その油の種類や品質は不明です。特に、パーム油やココナッツ油(飽和脂肪酸)、大豆油やコーン油(オメガ6過多)などが使われていることが多いため、過剰摂取には注意が必要です。

4.3.2 食事全体の脂質バランスを考える

特定の「良い油」だけを摂取すれば良いというわけではありません。食事全体を通して、様々な種類の脂質をバランス良く摂ることが、健康維持には不可欠です。

  • オメガ3、オメガ6、オメガ9のバランス: 現代の食生活では、オメガ6脂肪酸(リノール酸)の摂取が過剰になりがちです。理想的なオメガ3とオメガ6の摂取比率は1:2~1:4程度と言われています。アマニ油やえごま油、青魚などからオメガ3を積極的に摂り、オメガ6を多く含む加工食品や一部の植物油の摂取を控えめにすることで、バランスを改善できます。

  • 飽和脂肪酸も適量を: 飽和脂肪酸は、肉の脂身や乳製品、ココナッツオイルなどに含まれます。摂りすぎは健康リスクを高めますが、適量は細胞膜の構成やホルモンの生成に必要です。極端に避けるのではなく、赤身肉を選ぶ、乳製品は低脂肪のものを選ぶなど、摂取量を意識することが大切です。

  • 見えない脂質に注意: 揚げ物や炒め物だけでなく、パン、菓子、加工食品、ドレッシング、レトルト食品などにも多くの脂質が含まれています。これら「見えない脂質」の摂取量も考慮し、食事全体の脂質摂取量を管理しましょう。

  • 多様な食材から脂質を摂る: 特定の油に偏らず、ナッツ類、種実類、アボカド、青魚など、様々な食材から自然な形で脂質を摂ることも重要です。これらの食材は、脂質だけでなく、食物繊維やビタミン、ミネラルなども豊富に含んでいます。

日々の食事で意識的に油を選び、調理法を工夫し、食事全体のバランスを考えることで、健康的な脂質の摂取を実践することができます。

5. まとめ

脂質は私たちの健康を支える重要な栄養素ですが、その種類によって体への影響は大きく異なります。本記事では、「良い油」と「悪い油」を明確に区別し、それぞれの特性と選び方、使い方について詳しく解説しました。オメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸をバランス良く含むアマニ油、えごま油、青魚の油、オリーブオイルなどは積極的に食生活に取り入れましょう。特に、鮮度や低温圧搾などの表示を確認し、適切な調理法で摂取することが重要です。一方で、飽和脂肪酸の過剰摂取や、加工食品に多く含まれるトランス脂肪酸は、健康リスクを高める「悪い油」として避けるべきです。日々の食事において、意識的に油の種類を選び、全体の栄養バランスを考慮することが、健康的な体作りへの第一歩となります。賢い油の選択で、より豊かな食生活と健康な未来を手に入れましょう。

この記事を書いた人
Next One Lab 編集長 ともさん

40代で体の衰えを感じ、ゴルフ・ヨガ・キックボクシングのスクールやジムに通い、10年以上スポーツにより健康生活を楽しんでいる現在50代のおじさん。

今まで経験したスポーツだけでなく、これから挑戦したいスポーツも、50代のおじさん目線でメディアを運営しています。

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