登山初心者のおすすめ装備選び!必要なものから予算まで徹底解説【完全版】

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「登山を始めたいけれど、どんな装備が必要?」「選び方がわからない」「予算はどれくらい?」そんな登山初心者の不安を解消する、完全ガイドです。この記事では、日帰りから小屋泊まで対応できる必須装備の選び方から、レイヤリングの基本、予算目安、購入方法まで徹底解説。安全で快適な登山を楽しむための知識が、これ一つで全て手に入ります。

1. 登山初心者向け装備の全体像と種類

登山を安全に、そして快適に楽しむためには、適切な装備選びが不可欠です。しかし、「何から揃えればいいのか」「どんな種類があるのか」と悩む初心者の方も多いでしょう。この章では、登山装備の全体像を把握し、自身の登山スタイルに合わせた選び方の基礎知識を身につけることを目指します。装備の役割を理解することで、費用対効果の高い賢い選択ができるようになります。

1.1 日帰り登山と小屋泊・テント泊での装備の違い

登山装備は、日帰り登山、山小屋泊、テント泊といった登山スタイルによって大きく異なります。それぞれのスタイルに合わせた装備を準備することが、安全で快適な山行の第一歩です。ここでは、主要な登山スタイルにおける装備の違いを解説します。

項目日帰り登山小屋泊テント泊
宿泊の有無なし山小屋に宿泊テントで宿泊
携行する装備量比較的少ない日帰りより多く、テント泊より少ない最も多い(自炊、宿泊用具一式)
主なザック容量20~30リットル程度30~50リットル程度50リットル以上
寝具・宿泊用品不要不要(寝袋不要な場合が多いが、インナーシーツは推奨)テント、寝袋、マット、枕など一式
調理器具・食料行動食、水筒のみ行動食、水筒、小屋での食事または簡単な調理用具バーナー、クッカー、燃料、食材、水など一式
着替え行動着、休憩時用の上着行動着、小屋内での着替え、予備のベースレイヤーなど行動着、テント内での着替え、防寒着、予備のベースレイヤーなど
注意点天候急変への備え小屋の予約、消灯時間、共同スペースでのマナー設営場所の選定、水の確保、ゴミの持ち帰り、環境への配慮

このように、目的とする山行によって装備の構成は大きく変わります。まずはどのような登山に挑戦したいかを具体的にイメージし、それに合わせて必要な装備を検討しましょう。

1.2 「レイヤリング」の基本を理解しよう

登山ウェア選びにおいて最も重要な考え方の一つが「レイヤリング」です。レイヤリングとは、複数のウェアを重ね着することで、体温調節を効果的に行い、快適性と安全性を高めるための技術です。特に、汗をかきやすい登山では、汗冷えによる体温低下が命に関わることもあるため、この概念を理解することが非常に重要です。

レイヤリングは、一般的に「ベースレイヤー(肌着)」「ミドルレイヤー(中間着)」「アウターシェル(一番外側のウェア)」の3つの層で構成されます。それぞれの層が異なる役割を担い、気温の変化や運動量に応じて着脱することで、身体を常に最適な状態に保ちます。

  • ベースレイヤー(肌着): 汗を素早く吸い上げ、外に発散させる「吸湿速乾性」が最も重要です。汗冷えを防ぎ、肌をドライに保ちます。化学繊維やメリノウール素材が主流です。
  • ミドルレイヤー(中間着): 体から発せられる熱を閉じ込めて「保温性」を確保します。フリース、薄手のダウンジャケット、化繊中綿ジャケットなどがこれにあたります。行動中は体温が上がるため、必要に応じて着脱し、温度調節を行います。
  • アウターシェル(一番外側のウェア): 風や雨、雪から身体を守る「防風性」と「防水性」が主な役割です。同時に、ウェア内の蒸れを外に逃がす「透湿性」も重要です。主にレインウェアがこれに該当し、ゴアテックスなどの高機能素材が使われます。

これらの層を適切に組み合わせることで、気温の変化や運動量に応じて柔軟に対応し、快適な登山を実現できます。具体的なウェアの選び方は、次の章で詳しく解説します。

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2. 登山初心者におすすめの必須装備リスト

登山装備レイヤリングシステム ベースレイヤー • 吸汗速乾性 • メリノウール/化繊 ミドルレイヤー • 保温性 • フリース/薄手ダウン アウターシェル • 防水透湿性 • レインウェア上下 登山靴 ザック ヘッドライト ザック容量目安 日帰り: 20-30L 小屋泊: 30-45L テント泊: 45-60L ※すべての装備は試着・フィッティング確認をして自分に合ったものを選びましょう

登山を安全に、そして快適に楽しむためには、適切な装備選びが非常に重要です。ここでは、登山初心者がまず揃えるべき必須装備を、それぞれの選び方やポイントと合わせて詳しく解説します。

2.1 登山ウェアの選び方とレイヤリング

登山ウェアは、ただ防寒や防水をするだけでなく、体温調節を効果的に行うための「レイヤリング(重ね着)」が基本となります。季節や天候、活動量に合わせてウェアを組み合わせることで、常に快適な状態を保つことができます。

2.1.1 ベースレイヤー

ベースレイヤーは、肌に直接触れる一番下のウェアです。汗を素早く吸い上げ、速乾性によって肌をドライに保つ役割があります。汗冷えを防ぎ、体温低下を防ぐために非常に重要なアイテムです。

  • 素材の選び方:
    • メリノウール: 天然素材で、保温性、吸湿性、防臭性に優れています。汗をかいても冷えにくく、肌触りが良いのが特徴です。高価な傾向がありますが、オールシーズン快適に着用できます。
    • ポリエステル(化繊): 速乾性に優れ、軽量で耐久性も高いです。比較的安価なものが多く、手入れも簡単です。最近では防臭加工が施された製品も増えています。
  • 選び方のポイント:
    • フィット感: 肌に密着するサイズを選ぶことで、汗を効率よく吸い上げることができます。きつすぎず、動きを妨げないものを選びましょう。
    • 季節: 夏は薄手で通気性の良いもの、冬は厚手で保温性の高いものを選びます。
    • 長袖・半袖: 日焼け対策や虫刺され防止のため、夏でも長袖を選ぶことをおすすめします。

2.1.2 ミドルレイヤー

ミドルレイヤーは、ベースレイヤーの上に着用し、主に保温を目的とするウェアです。行動中に暑くなれば脱ぎ、寒くなれば着ることで、体温調節の要となります。

  • 素材の選び方:
    • フリース: 軽量で保温性が高く、通気性も良いため、行動中の保温着として最適です。厚みや毛足の長さによって保温力が異なります。
    • 薄手のダウン・化繊中綿: 非常に軽量でコンパクトに収納でき、高い保温力を持ちます。休憩時や停滞時の防寒着としても重宝します。濡れると保温力が低下しやすいダウンに対し、化繊中綿は濡れても保温力を保ちやすい特徴があります。
  • 選び方のポイント:
    • 保温力: 季節や標高に合わせて適切な保温力のものを選びましょう。
    • 通気性: 行動中に着用することを考慮し、適度な通気性があるものが快適です。
    • 着脱のしやすさ: 前開きジッパーなど、体温調節しやすいデザインが便利です。

2.1.3 アウターシェル(レインウェア)

アウターシェルは、一番外側に着用するウェアで、風雨から体を守る重要な役割を担います。防水性、防風性、そして透湿性を兼ね備えていることが必須です。登山におけるレインウェアは、単なる雨具ではなく、悪天候時の生命線となる装備です。

  • 素材の選び方:
    • 防水透湿素材: ゴアテックス(GORE-TEX)やドライテック(DRYTEC)など、外部からの雨や風を防ぎつつ、内側の汗による水蒸気を外に排出する機能を持つ素材を選びましょう。
  • 選び方のポイント:
    • 上下セパレート: 上下がつながったポンチョ型ではなく、ジャケットとパンツが分かれたセパレートタイプを選びましょう。動きやすく、体温調節もしやすいです。
    • 耐水圧と透湿性: 耐水圧は雨を防ぐ性能、透湿性はムレにくさを示します。登山用としては、耐水圧20,000mm以上、透湿性10,000g/m²/24h以上が目安とされています。
    • 収納性: コンパクトに収納でき、ザックのスペースを取らないものが便利です。
    • フードと袖口: フードは顔をしっかり覆え、視界を妨げないもの。袖口はベルクロなどで絞れるものが良いでしょう。

2.2 登山靴の選び方と試着のポイント

登山靴は、足への負担を軽減し、岩場や不安定な地面から足を守るための最も重要な装備の一つです。自分の足に合ったものを選ぶことが、安全で快適な登山につながります。

  • 種類と適した登山スタイル:
    種類特徴適した登山スタイル
    ローカットくるぶしが隠れないタイプ。軽量で歩きやすい。整備された登山道、低山ハイク、スピードハイク
    ミドルカットくるぶしを覆うタイプ。足首のサポート力と安定性が高い。日帰り登山、小屋泊、やや岩場のあるコース
    ハイカット足首の上まで覆うタイプ。足首のホールド力と保護力が最も高い。重い荷物を背負う縦走、テント泊、岩稜帯、雪山

    初心者の日帰り登山や小屋泊であれば、ミドルカットが汎用性が高くおすすめです。

  • 選び方のポイント:
    • ソールの硬さ: 硬いソールは岩場での安定性が高く、足裏の疲労を軽減します。柔らかいソールは歩きやすく、低山向きです。
    • 防水性: ゴアテックスなどの防水透湿素材が使われているものがおすすめです。雨やぬかるみから足を守ります。
    • フィット感: 最も重要です。足の形は人それぞれなので、必ず試着して選びましょう。
  • 試着のポイント:
    • 厚手の登山用靴下を着用する: 実際に登山で使う靴下を履いて試着しましょう。
    • 午後に試着する: 足はむくみやすいので、むくみが出やすい午後に試着すると、より実際の状態に近いフィット感を確認できます。
    • 店内で歩き回る: 平らな場所だけでなく、店内の坂道や階段があれば、上り下りも試してみましょう。
    • つま先に余裕があるか: つま先に1cm程度の余裕があるか確認します。下り坂でつま先が当たらないことが重要です。
    • かかとが浮かないか: かかとが浮くと靴擦れの原因になります。しっかりとホールドされているか確認しましょう。
    • 足首のホールド感: ミドルカットやハイカットの場合、足首がしっかりホールドされているか確認します。

2.3 登山ザックの選び方と容量目安

登山ザック(バックパック)は、食料、水、ウェア、小物など、登山に必要なすべての荷物を収納し、快適に背負って運ぶための装備です。体の負担を軽減するためにも、自分に合ったザックを選ぶことが大切です。

  • 選び方のポイント:
    • 容量: 登山の種類や日数によって必要な容量が変わります。
    • フィット感: 背面長(背中の長さ)が自分の体に合っているか、ウエストベルトが腰骨でしっかり荷物を支えられるかを確認しましょう。
    • 機能性: ポケットの数、雨蓋の有無、ハイドレーションシステム対応、トレッキングポールホルダーなど、使いやすい機能があるか確認します。
  • 容量目安:
    登山の種類容量目安主な収納物
    日帰り登山20L~30Lレインウェア上下、行動食、水、防寒着、ファーストエイドキットなど
    小屋泊(1泊2日)30L~45L日帰り装備に加え、着替え、洗面具、寝具(小屋のレンタル品以外)など
    テント泊(1泊2日)45L~60L小屋泊装備に加え、テント、シュラフ、マット、調理器具、食料など
  • 試着のポイント:
    • 実際に荷物を入れてみる: 店舗で重りなどを借りて、実際に荷物を入れた状態で背負ってみましょう。
    • ショルダーハーネスとウエストベルトの調整: 正しい位置で荷物を支えられているか、各ストラップを調整して確認します。
    • 歩いてみる: 数歩歩いてみて、重心のバランスや肩・腰への負担を確認しましょう。

2.4 その他小物装備

必須となる小物装備も、安全で快適な登山には欠かせません。忘れずに準備しましょう。

2.4.1 ヘッドライトと予備電池

日帰り登山であっても、下山が遅れたり、道に迷ったりした場合に暗闇で行動しなければならない可能性があります。必ず持参しましょう。

  • 選び方のポイント:
    • 明るさ(ルーメン): 100~300ルーメン程度あれば十分ですが、より明るいものもあります。
    • 防水性: IPX4以上の防水性能があると安心です。
    • 点灯モード: 強・弱、点滅、赤色灯など、複数のモードがあると便利です。
    • 電池: 単三・単四電池を使うタイプや、充電式タイプがあります。予備電池も必ず持参しましょう。

2.4.2 地図とコンパス(スマホアプリも活用)

道迷いは遭難に直結します。紙の地図とコンパスの使い方は必ず習得し、持参しましょう。スマートフォンの登山アプリも非常に便利ですが、電池切れや故障のリスクを考慮し、紙の地図とコンパスを併用することが基本です。

  • 選び方のポイント:
    • 紙の地図: 山と高原地図など、登山道が詳しく記載された専用の地図を選びましょう。
    • コンパス: 磁北線が引けるプレートタイプがおすすめです。
    • スマホアプリ: YAMAPやジオグラフィカなど、GPS機能を利用した登山地図アプリは現在地確認に非常に役立ちます。事前に地図データをダウンロードしておきましょう。

2.4.3 ファーストエイドキット

小さな怪我や体調不良は、登山中にいつでも起こり得ます。応急処置ができるように、必要なものをまとめて持参しましょう。

  • 主な内容物:
    • 絆創膏、ガーゼ、包帯、テーピング
    • 消毒液、ポイズンリムーバー(虫刺され対策)
    • 鎮痛剤、胃腸薬、常備薬
    • 虫除けスプレー、日焼け止め
    • ハサミ、ピンセット、安全ピン
  • ポイント: 市販のキットに加えて、自分に必要なものをカスタマイズして持ち歩きましょう。

2.4.4 行動食と水筒

登山中はエネルギー消費が激しいため、こまめな栄養補給と水分補給が欠かせません。

  • 行動食:
    • 選び方: 手軽に食べられ、高カロリーで消化の良いものが適しています。チョコレート、ナッツ、ドライフルーツ、ゼリー飲料、羊羹、パンなどがおすすめです。
    • ポイント: 少し多めに持っていくと安心です。
  • 水筒:
    • 種類: ハイドレーションシステム(背中のザック内に収納し、チューブで水分補給)、ナルゲンボトル、軽量なペットボトルなどがあります。
    • 容量: 夏場や行動時間が長い場合は、1.5L~2L程度を目安に持参しましょう。途中に水場がある場合は、浄水器などもあると便利です。

2.4.5 防寒着とグローブ

夏山でも標高の高い場所では気温が低く、風が吹くと体感温度はさらに下がります。休憩時や悪天候時に体温が奪われないよう、必ず防寒着とグローブを持参しましょう。

  • 防寒着:
    • 種類: 薄手のダウンジャケット、化繊中綿ジャケット、厚手のフリースなどが適しています。コンパクトに収納できるものが便利です。
  • グローブ(手袋):
    • 種類: 薄手のインナーグローブと、防水・防風性のあるアウターグローブを重ねて使うのが一般的です。
    • ポイント: 岩場での手の保護や、寒い季節の防寒に役立ちます。

2.4.6 レインスパッツ

レインスパッツ(ゲイター)は、雨天時やぬかるんだ道、雪渓などで、靴の中に雨水や泥、小石などが入るのを防ぐためのアイテムです。ズボンの裾が汚れるのも防いでくれます。

  • 選び方のポイント:
    • 防水性: レインウェアと同様に、防水透湿素材が使われているものを選びましょう。
    • 丈の長さ: 靴全体とズボンの裾をしっかり覆える長さがあるものが良いでしょう。
    • 着脱のしやすさ: フロントジッパーやベルクロで簡単に着脱できるものが便利です。

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3. あると便利な登山装備

登山に必要な基本的な装備に加えて、持っていくことでより安全に、より快適に登山を楽しめる「あると便利な装備」があります。これらは必須ではありませんが、状況によっては非常に役立つため、予算や経験に応じて準備を検討しましょう。

3.1 登山ストック

登山ストック(トレッキングポールとも呼ばれます)は、特に長距離の縦走や急な登り下り、重い荷物を背負う際に、膝や足への負担を軽減し、バランスを保つのに役立つ装備です。両手に持つダブルストックが一般的ですが、片手で使うシングルストックもあります。

主なメリットは以下の通りです。

  • **膝への負担軽減:** 下り坂での衝撃を吸収し、膝関節や太ももの筋肉への負担を最大25%軽減すると言われています。
  • **バランスの安定:** 不安定な足場やぬかるんだ道、渡渉時などにバランスを保ちやすくなり、転倒のリスクを減らします。
  • **登坂の補助:** 登り坂で体を押し上げる補助となり、上半身の力も使って効率的に登れます。
  • **疲労軽減:** 全身運動になることで、特定の筋肉への集中した疲労を分散させ、長時間の行動をサポートします。
  • **危険回避:** 蛇などの動物を追い払ったり、蜘蛛の巣を払ったり、雪渓の硬さを確認したりと、様々な場面で活用できます。

登山ストックの選び方と種類を以下の表にまとめました。

項目解説
長さの目安腕を曲げたときに肘が90度になる程度が基本です。伸縮式や折りたたみ式で、身長や地形に合わせて長さを調整できるものが便利です。
素材
  • **アルミ製:** 丈夫で耐久性があり、価格も手頃です。重量はカーボン製に比べて重めです。
  • **カーボン製:** 軽量で振動吸収性に優れますが、価格は高めです。衝撃にはアルミ製より弱い場合があります。
グリップ握りやすく、滑りにくい素材(コルク、EVAフォーム、ゴムなど)を選びましょう。手のひらにフィットするかどうか、実際に握って確認するのがおすすめです。ストラップも手の甲にフィットし、手首への負担が少ないものが良いでしょう。
収納性
  • **伸縮式:** 長さを調整でき、ある程度コンパクトになります。
  • **折りたたみ式:** 非常にコンパクトに収納でき、ザック内部に収めやすいのが特徴です。
特に岩場や鎖場など、両手を使いたい場面では、素早く収納できるかどうかも重要なポイントになります。
タイプ
  • **I型:** 一般的なタイプで、推進力やバランス維持に優れます。ダブルストックとして使うのが基本です。
  • **T型:** 杖のように使え、平坦な道や休憩時に体を支えるのに適しています。シングルストックとして使われることが多いです。

ストックの先端には、地面の状況に合わせて交換できるバスケット(泥や雪に沈み込むのを防ぐ)や、ゴムキャップ(舗装路や岩場での滑り止め、地面へのダメージ軽減)を装着できるものもあります。

3.2 サブザック・スタッフバッグ

メインの登山ザックとは別に、用途に応じて使い分けることで、より効率的で快適な登山をサポートしてくれるのがサブザックやスタッフバッグです。

3.2.1 サブザック(アタックザック・パッカブルザック)

サブザックは、主に小屋泊やテント泊でベースキャンプを設営した後、軽装で山頂を目指す「アタック」の際に使用する小型のザックです。また、日帰り登山でも、休憩時にメインザックをデポして周辺を散策する際や、下山後に温泉に行く際の着替え入れなど、様々なシーンで活用できます。

選び方のポイントは以下の通りです。

  • **容量:** 10L~20L程度が一般的です。行動食、水、防寒着、ファーストエイドキット、カメラなど、必要最低限の荷物が入るサイズを選びましょう。
  • **軽量性・収納性:** メインザックの中に収納するため、軽量でコンパクトに折りたためるパッカブルタイプが非常に便利です。手のひらサイズになるものもあります。
  • **耐久性:** 薄手の素材でも、ある程度の耐久性があるものを選びましょう。リップストップナイロンなどの引き裂きに強い素材がおすすめです。
  • **機能性:** 小さくてもサイドポケットやチェストストラップ、ヒップベルトが付いていると、使い勝手が向上します。

パッカブルタイプのサブザックは、普段使いのエコバッグとしても活用できるため、一つ持っておくと重宝します。

3.2.2 スタッフバッグ(ドライバッグ・コンプレッションバッグ)

スタッフバッグは、登山ザックの中の荷物を整理整頓し、防水・防塵効果を高めるための袋です。種類やサイズが豊富で、用途に合わせて使い分けることでパッキングが格段に楽になり、必要なものを素早く取り出せるようになります。

主な種類と用途は以下の通りです。

種類主な用途特徴
**防水スタッフバッグ(ドライバッグ)**濡らしたくない着替え、電子機器、食料、寝袋などの保護高い防水性があり、雨や水濡れから大切な荷物を守ります。開口部を巻き上げてバックルで留めるロールトップ式が多く、縫い目もシーム処理されているものが一般的です。
**メッシュスタッフバッグ**濡れたタオルや洗濯物、通気させたい衣類、使用済み食器など通気性が良く、中身が見えるため整理しやすいです。湿気をこもらせたくないものや、乾かしたいものを入れるのに適しています。
**コンプレッションスタッフバッグ**ダウンジャケットやフリース、寝袋など、かさばる衣類の圧縮外側に付いたストラップを締めることで中身を圧縮し、ザックの容量を大幅に節約できます。防水性を持つものもあります。
**汎用スタッフバッグ**細かなギア、行動食、ファーストエイドキット、洗面用具などの仕分け様々なサイズがあり、ザック内の小物をカテゴリ別に整理するのに役立ちます。素材もナイロンやポリエステルなど多様です。

スタッフバッグを活用することで、ザックの中で荷物がごちゃつくのを防ぎ、必要なものを素早く取り出せるようになります。また、防水性の高いものを選べば、メインザックの防水性が不十分な場合でも、大切な荷物を雨から守ることができます。色分けして中身を識別しやすくするのもおすすめです。

3.3 携帯トイレ

携帯トイレは、登山中にトイレがない場所や緊急時に排泄をするための必需品であり、自然環境保護と登山マナーの観点から、持参を強く推奨されるアイテムです。

「山はみんなの宝」という意識を持ち、以下の理由から携帯トイレの準備を検討しましょう。

  • **自然環境保護:** 排泄物を適切に処理することで、土壌汚染や景観の悪化を防ぎ、高山植物や生態系への影響を最小限に抑えます。特に高山帯では、分解が進みにくいため、大きな問題となります。
  • **登山マナーの遵守:** 他の登山者や利用者への配慮として、排泄物を放置しないことが重要です。見苦しいだけでなく、不快感を与えます。
  • **緊急時の備え:** 山小屋のトイレが混雑している場合や、体調不良で急に用を足したくなった場合、あるいは道中にトイレが見当たらない場合など、いざという時に役立ちます。
  • **公衆衛生:** 排泄物に含まれる病原菌の拡散防止にも繋がり、登山道の衛生環境を保ちます。

携帯トイレの選び方と使用時の注意点は以下の通りです。

項目解説
タイプ
  • **凝固剤入り袋タイプ:** 排泄物を素早く吸収し、ジェル状に固めることで臭いを抑えます。男女兼用や、女性が使いやすい工夫がされたもの(受け口が広い、目隠しポンチョ付きなど)もあります。
  • **簡易トイレセット:** 凝固剤入り袋に加えて、排泄物を入れるための本体(段ボール製など)、目隠し用のポンチョ、持ち帰り用の袋などがセットになったものです。
容量と回数1回使い切りが基本ですが、複数回分対応のものもあります。日帰り登山でも最低1回分は持参しましょう。泊まりの場合は、日数や同行者の人数に合わせて多めに準備すると安心です。
消臭効果使用後の臭いを抑える工夫(消臭剤入り、密閉性の高い袋など)がされているか確認しましょう。
携帯性コンパクトに収納でき、持ち運びやすいものが便利です。ザックのすぐ取り出せる場所に入れておくと良いでしょう。

使用する際は、人目につかない場所を選び、必ず持ち帰りましょう。使用済みの携帯トイレは、密閉できる袋に入れ、下山後に地域のルールに従って可燃ごみとして処理してください。事前練習をしておくと、いざという時もスムーズに利用できます。また、携帯トイレを使用する際には、トイレットペーパーやウェットティッシュも忘れずに持参しましょう。

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4. 登山装備の予算と購入方法

4.1 初心者向け装備の予算目安

登山を始めるにあたり、装備を揃えるための費用は気になるポイントでしょう。ここでは、登山初心者が日帰り登山に必要な主要な装備を新品で揃える場合の一般的な予算目安をご紹介します。品質やブランドによって価格は大きく変動しますが、安全で快適な登山のためには、ある程度の投資が必要です。

以下の表は、必須装備とされているアイテムの価格帯を示したものです。まずはこの目安を参考に、ご自身の予算と相談しながら計画を立ててみてください。

装備品カテゴリ価格帯(目安)備考
登山靴10,000円~30,000円足の保護と安定性に直結するため、試着とフィッティングが重要
登山ザック10,000円~25,000円日帰り登山向け20L~30L程度の容量
レインウェア(上下セット)15,000円~40,000円防水透湿性に優れた素材が必須
ベースレイヤー(長袖)5,000円~10,000円吸湿速乾性の素材を選ぶ
ミドルレイヤー(フリースなど)5,000円~15,000円保温性を確保
防寒着(軽量ダウンなど)5,000円~20,000円休憩時や非常時に体を冷やさないため
グローブ3,000円~8,000円防寒、怪我防止
ヘッドライト3,000円~7,000円予備電池も忘れずに
ファーストエイドキット2,000円~5,000円最低限の応急処置用品
地図・コンパス1,000円~3,000円読図の練習も兼ねて用意
行動食・水筒など都度購入登山内容に応じて

これらの必須装備を合計すると、およそ6万円から15万円程度の初期費用がかかることがわかります。一度にすべてを揃えるのが難しい場合は、まずは必須度の高い登山靴、ザック、レインウェアから優先的に揃え、ウェア類は手持ちのスポーツウェアで代用できるものがないか検討するのも一つの手です。ただし、綿素材の衣類は汗冷えの原因となるため、登山には不向きです。

4.2 登山用品専門店での購入メリット

登山装備を揃える上で、登山用品専門店を利用することは多くのメリットがあります。特に登山初心者の方には強くおすすめします。

  • 専門知識を持つスタッフのアドバイス
    登山用品専門店のスタッフは、登山に関する豊富な知識と経験を持っています。どの山に、どのような季節に、どの程度の装備が必要かなど、具体的な状況に応じた的確なアドバイスを受けることができます。特に、登山靴のフィッティングやザックの背負い方、レイヤリングの組み合わせなど、初心者には判断が難しいポイントで非常に役立ちます。

  • 豊富な品揃えと比較検討
    様々なブランドや種類の登山装備が豊富に揃っているため、実際に手に取って比較検討することができます。特に、登山靴やザックは体に合うかどうかが快適性に直結するため、多くの選択肢の中から自分に最適なものを見つけることが重要です。

  • 試着・試用ができる
    登山靴は実際に履いて歩き、ザックは荷物を詰めて背負ってみることで、フィット感や背負い心地を確認できます。多くの専門店では、専用の試着スペースや、ザックに重りを入れて試せる設備が用意されています。

  • 購入後のサポート・アフターサービス
    購入後のメンテナンス方法や、万が一の故障時の修理対応など、アフターサービスが充実している店舗が多いです。安心して長く装備を使うためにも、信頼できる専門店での購入は大きなメリットとなります。

インターネット通販も便利ですが、特に登山靴やザックといった重要なアイテムは、必ず専門店で試着・相談をしてから購入するようにしましょう。

4.3 レンタルを活用する選択肢

「まずは試しに登山を始めてみたい」「初期費用を抑えたい」という方には、登山装備のレンタルも有効な選択肢です。

  • レンタルのメリット

    • 初期費用を大幅に抑えられる: 高価な登山装備を一式揃える必要がなく、必要な時だけ借りられるため、経済的な負担が軽減されます。
    • 保管場所に困らない: 使用しない期間の保管場所を確保する必要がありません。
    • 手軽に始められる: 何から揃えれば良いか迷う初心者でも、必要な装備をセットで借りられるサービスもあります。
    • 高価な装備を試せる: 購入を検討している高価なアイテムを、実際に使ってみてから判断することができます。
  • レンタルのデメリット

    • 新品ではない: 他の人が使用したものであるため、衛生面や使用感に抵抗がある場合もあります。
    • サイズやデザインの選択肢が限られる: 在庫の中から選ぶため、必ずしも希望のサイズやデザインがあるとは限りません。
    • 長期利用は割高になる: 何度も利用する場合や、長期間借りる場合は、購入するよりも総額が高くなる可能性があります。
    • 直前の予約では希望の品が借りられない可能性: 特に人気のシーズンは早めの予約が必要です。

レンタルできる主な装備は、登山靴、登山ザック、レインウェア、登山ストックなど、必須となる主要なアイテムが中心です。多くのレンタルサービスでは、ウェブサイトから予約し、自宅へ配送、または現地で受け取ることができます。初めての登山や、年に数回程度のライトな登山を考えている場合は、ぜひレンタルの活用を検討してみてください。

4.4 中古品やフリマアプリの利用について

初期費用をさらに抑えたい場合、中古品やフリマアプリでの購入も選択肢の一つとなります。しかし、安全に関わる登山装備の購入には慎重な判断が必要です。

  • 中古品・フリマアプリのメリット

    • 安価に購入できる: 定価よりもかなり安い価格で手に入る可能性があります。
    • 掘り出し物が見つかる可能性: 廃盤になった人気のモデルや、状態の良い品が見つかることもあります。
  • 中古品・フリマアプリのデメリットと注意点

    • 品質や状態の保証がない: 中古品であるため、使用感や劣化があるのは避けられません。特に、目に見えない部分の劣化や破損がないか、自己責任で判断する必要があります。
    • サイズやフィット感の確認が難しい: 試着ができないため、届いてみたらサイズが合わなかったというリスクがあります。特に登山靴は、足に合わないと怪我の原因にもなるため、中古での購入は避けるのが賢明です。
    • 衛生面: 他の人が使用したものであるため、抵抗を感じる方もいるでしょう。特にウェア類は洗濯済みか、状態を確認しましょう。
    • 返品・交換が困難: 個人間の取引や中古品販売では、購入後のトラブル解決が難しい場合があります。
    • 安全に関わる装備は特に注意: ロープやハーネスなど、命に関わる安全装備は、万が一の不具合が命取りになるため、中古品での購入は絶対に避け、新品を購入しましょう。

フリマアプリ(例:メルカリ、ラクマなど)やリサイクルショップ、中古登山用品専門店などで探すことができます。中古品を購入する場合は、商品の写真や説明をよく確認し、出品者や店舗の評価も参考にしましょう。また、特に登山靴やレインウェアなど、機能性が安全や快適性に直結するアイテムは、できる限り新品での購入、またはレンタルを検討することをおすすめします。小物類や、使用頻度の低いサブザックなどであれば、中古品も選択肢として考えやすいでしょう。

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5. まとめ

登山初心者にとって、適切な装備選びは安全で快適な山行の第一歩です。この記事では、日帰りから小屋泊まで対応できる必須装備のリストアップから、あると便利なアイテム、そして予算に応じた賢い購入方法までを徹底的に解説しました。最も重要なのは、ご自身の登山スタイルや計画している山の状況に合わせた装備を選ぶこと。特に「レイヤリング」の基本を理解し、登山靴やザックは必ず試着してフィット感を確認しましょう。専門店での購入はもちろん、レンタルや中古品を活用するなど、無理のない範囲で準備を進めることが可能です。適切な装備を揃え、安全で楽しい登山を始めてください。

この記事を書いた人
Next One Lab 編集長 ともさん

40代で体の衰えを感じ、ゴルフ・ヨガ・キックボクシングのスクールやジムに通い、10年以上スポーツにより健康生活を楽しんでいる現在50代のおじさん。

今まで経験したスポーツだけでなく、これから挑戦したいスポーツも、50代のおじさん目線でメディアを運営しています。

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