「ランニングLSDって、本当に遅いのに速くなるの?」その答えはイエスです。この記事では、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)がランナーの能力を飛躍的に向上させる理由を徹底解説。心肺機能向上、脂肪燃焼効率アップ、毛細血管・ミトコンドリア増加、疲労回復・怪我予防といった効果を分かりやすく説明します。さらに、適切なペース設定、時間、フォーム、練習への効果的な取り入れ方まで、具体的な「やり方」を網羅。初心者からベテランまで、あなたのマラソン目標達成を強力にサポートするLSDの全てがここにあります。
1. ランニングLSDとは?遅いのに速くなる練習法の基本
ランニングの練習法には様々な種類がありますが、その中でも特に注目されているのが「LSD」です。LSDは「遅いのに速くなる」という一見矛盾した効果をもたらす、非常に奥深いトレーニング方法です。この章では、LSDがどのような練習であり、なぜランナーの能力を根本から高めることができるのか、その定義から驚くべき効果までを徹底的に解説します。
1.1 LSDの定義と目的
LSDとは「Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス)」の略称で、その名の通り「長く、ゆっくりと、距離を走る」ことを基本とするランニングトレーニングです。一般的なスピード練習やインターバル走とは異なり、息が上がらない程度の非常にゆっくりとしたペースで、長時間走り続けることに重点を置きます。
LSDの主な目的は、有酸素運動能力の向上と持久力の強化です。具体的には、心肺機能の向上、脂肪燃焼効率の改善、毛細血管やミトコンドリアの増加を促し、マラソン完走や自己ベスト更新のための強固な土台を築くことにあります。また、肉体的な疲労を最小限に抑えながら、精神的な忍耐力を養う効果も期待できます。
1.2 なぜ「遅いのに速くなる」のか?LSDの効果を徹底解説
LSDは「遅いペースで走るのに、結果的に速くなる」という、ランナーにとって魅力的な効果をもたらします。これは、LSDが体の生理機能に働きかけ、ランニング能力を根本から向上させるためです。ここでは、LSDがもたらす具体的な効果を詳しく見ていきましょう。
1.2.1 心肺機能と持久力の向上
LSDは、心臓や肺といった循環器系に継続的な負荷をかけることで、その機能を高めます。ゆっくりとしたペースで長時間走り続けることで、心臓は一度に多くの血液を送り出す能力(一回拍出量)が向上し、肺もより効率的に酸素を取り込めるようになります。これにより、最大酸素摂取量(VO2max)が改善され、同じペースで走る際の心拍数が低下し、疲労を感じにくくなります。結果として、レース終盤まで粘り強く走り続けるためのスタミナが養われます。
1.2.2 脂肪燃焼効率のアップ
低強度のLSDでは、運動中の主要なエネルギー源として体内の脂肪が使われやすくなります。長時間脂肪を燃焼させることで、体は脂肪をエネルギーとして利用する能力を効率的に学習し、その効率を高めます。これにより、レース中に枯渇しやすいグリコーゲン(糖質)の温存が可能となり、「ハンガーノック」や「ガス欠」と呼ばれるエネルギー切れを防ぐことができます。また、体脂肪の減少にも繋がり、ランニングエコノミー(経済性)の向上にも寄与します。
1.2.3 毛細血管とミトコンドリアの増加
LSDは、筋肉の細胞レベルでの変化を促します。継続的な低強度運動は、筋肉の隅々まで酸素や栄養を運ぶ毛細血管の密度を増加させます。これにより、筋肉への酸素供給がスムーズになり、老廃物の除去も効率化されます。さらに、筋肉細胞内のミトコンドリア(エネルギーを生成する細胞小器官)の数とサイズが増加します。ミトコンドリアが増えることで、酸素を使ってより多くのエネルギー(ATP)を効率的に生み出すことができるようになり、筋肉の持久力が飛躍的に向上します。
1.2.4 疲労回復と怪我予防
LSDは、その低強度である特性から、筋肉や関節への負担が非常に少ないトレーニングです。そのため、激しい練習後のアクティブレスト(積極的休養)としても機能し、血行促進を通じて疲労物質の除去を助け、回復を早める効果があります。また、ゆっくりとしたペースで長時間走ることで、ランニングフォームを意識的に確認・改善する機会が増え、筋肉や腱、靭帯を徐々に強化することができます。これにより、オーバートレーニングによる怪我のリスクを低減し、安全にランニングを継続するための強靭な体を作り上げます。
LSD(Long Slow Distance)は、その名の通り「長く」「ゆっくり」走ることが重要ですが、ただ漫然と走るだけでは効果は半減してしまいます。ここでは、LSDの効果を最大限に引き出すための具体的なやり方を、ペース設定からフォーム、準備、ケアまで詳しく解説します。
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2. ランニングLSDの具体的なやり方
2.1 LSDの適切なペース設定
LSDで最も重要となるのが、適切なペース設定です。速すぎても遅すぎてもLSD本来の効果は得られません。自分のレベルやその日の体調に合わせて、無理なく続けられるペースを見つけることが成功の鍵となります。
2.1.1 会話ができるペースが目安
LSDのペース設定で最も分かりやすい目安は、「会話ができるペース」です。これは「ニコニコペース」とも呼ばれ、隣の人と途切れることなく会話ができる、あるいは鼻歌を歌えるくらいの余裕がある状態を指します。具体的には、呼吸が乱れず、笑顔で走れる程度のペースが理想的です。
このペースで走ることで、心肺機能に過度な負担をかけることなく、長時間運動を継続できます。結果として、脂肪をエネルギー源として効率的に利用する能力が高まり、持久力の向上につながります。無理にスピードを上げる必要はなく、むしろ「遅すぎるかな?」と感じるくらいがLSDには適しています。
2.1.2 心拍数ゾーンを活用する
より客観的かつ科学的にLSDのペースを設定したい場合は、心拍数ゾーンを活用する方法が有効です。LSDの適切な心拍数ゾーンは、一般的に最大心拍数の60%~70%程度と言われています。
最大心拍数は「220 – 年齢」という簡易的な計算式で概算できますが、より正確には運動負荷テストなどで測定することが推奨されます。心拍数計機能付きのランニングウォッチやGPSウォッチを使用すれば、リアルタイムで自分の心拍数を確認しながら、適切なゾーンを維持して走ることができます。
以下に、年齢別のLSD推奨心拍数ゾーンの目安を示します。
年齢 | 最大心拍数(目安) | LSD推奨心拍数ゾーン(60%~70%) |
---|---|---|
20歳 | 200拍/分 | 120~140拍/分 |
30歳 | 190拍/分 | 114~133拍/分 |
40歳 | 180拍/分 | 108~126拍/分 |
50歳 | 170拍/分 | 102~119拍/分 |
60歳 | 160拍/分 | 96~112拍/分 |
※上記はあくまで目安です。個人の体力レベルや体調によって変動するため、自身の感覚と合わせて調整してください。
2.2 LSDの適切な時間と距離
LSDは「Long(長く)」走ることに意味があります。時間と距離のどちらを重視するかと言えば、LSDにおいては「時間」を意識する方がより効果的です。一定の運動強度を長時間維持することで、心肺機能や脂肪燃焼効率の向上といったLSDの恩恵を最大限に引き出すことができます。
一般的なLSDの推奨時間は、60分から180分以上と幅広く設定されます。初心者の場合はまず60分程度の継続を目指し、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていくのが良いでしょう。距離は時間とペースによって自然と決まりますが、例えば90分で10km~15km、120分で15km~20kmといったイメージになります。
重要なのは、無理なく続けられる範囲で、普段のジョギングよりも少し長めの時間設定をすることです。週に1回程度、この長時間走を取り入れることで、着実に体力が向上し、マラソン後半の失速を防ぐための「足作り」にもつながります。
2.3 LSDを行う際のフォームと呼吸
長時間走り続けるLSDでは、効率的で身体に負担の少ないフォームと、安定した呼吸法が非常に重要になります。これらを意識することで、疲労を軽減し、怪我のリスクを減らしながら、LSDの効果を最大限に引き出すことができます。
2.3.1 フォーム
LSDにおけるランニングフォームのポイントは「リラックス」と「効率性」です。肩の力を抜き、腕は軽く振る程度に留めましょう。腕を振りすぎると、余計なエネルギーを消費し、肩や首が凝りやすくなります。目線は数メートル先を見据え、背筋を伸ばし、猫背にならないように意識します。
着地は、かかとからではなく、足の裏全体(ミッドフット)で優しく着地することを意識すると、衝撃が分散され、膝や足首への負担を軽減できます。ピッチ(歩数)は小刻みに、ストライド(歩幅)は無理に広げず、自然な歩幅で走るのが理想的です。無駄な動きをなくし、重力と推進力を利用して、スムーズに前に進む感覚を掴むことが大切です。
2.3.2 呼吸
LSDでは、深く安定した呼吸を心がけましょう。浅い胸式呼吸ではなく、お腹を膨らませたりへこませたりする腹式呼吸を意識することで、より多くの酸素を取り込み、効率的に二酸化炭素を排出できます。これにより、体内の酸素供給が安定し、長時間走り続けることが可能になります。
呼吸のリズムは、自分のペースに合わせて「2吸2吐(2歩で吸って2歩で吐く)」や「3吸3吐」など、一定のリズムを保つと良いでしょう。呼吸が乱れ始めたら、それはペースが速すぎるサインかもしれません。無理せずペースを落とし、呼吸を整えることを最優先にしてください。
2.4 LSD前後の準備とケア
LSDを安全かつ効果的に実施し、その後の疲労回復を促進するためには、走る前後の準備とケアが欠かせません。これらを怠ると、怪我のリスクが高まったり、LSDの効果が十分に得られなかったりする可能性があります。
2.4.1 LSD前の準備
- ストレッチ:走る前に、軽い動的ストレッチ(例:アキレス腱伸ばし、股関節回し、腕回しなど)で体を温め、筋肉をほぐしましょう。静的ストレッチは運動前には向かない場合があります。
- 水分補給:LSDは長時間にわたるため、脱水症状を防ぐためにも事前に十分な水分補給をしておきましょう。
- ウェアとシューズ:季節や天候に合わせた快適なウェアを選び、クッション性のあるランニングシューズを着用しましょう。特にシューズは、長時間の衝撃から足を守るために重要です。
- 補給食:90分以上走る場合は、途中でエネルギー切れを起こさないよう、ジェルやエナジーバーなどの補給食を携帯すると安心です。
2.4.2 LSD後のケア
- クールダウン:走り終えたらすぐに止まらず、数分間ゆっくり歩いたり、軽いジョギングをしたりして、心拍数を徐々に落ち着かせましょう。
- ストレッチ:クールダウン後には、静的ストレッチ(筋肉をゆっくり伸ばして維持するストレッチ)で、使った筋肉を丁寧に伸ばし、疲労回復と柔軟性の向上を促します。特にハムストリングス、大腿四頭筋、ふくらはぎ、股関節周りを重点的に行いましょう。
- 栄養補給:運動後30分以内を目安に、糖質とタンパク質をバランス良く摂取しましょう。炭水化物でエネルギーを補給し、タンパク質で筋肉の修復を促します。
- 水分補給:失われた水分と電解質を補給するために、スポーツドリンクなどを摂取するのも効果的です。
- 休息と睡眠:十分な休息と質の良い睡眠は、筋肉の回復と体力の回復に不可欠です。必要に応じて、入浴やマッサージで血行を促進し、疲労物質の排出を助けましょう。
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3. ランニングLSDを効果的に練習に取り入れる方法
LSDは単体で行うだけでなく、他のランニング練習と組み合わせることで、その効果を最大限に引き出すことができます。自身の目標や現在の体力レベルに合わせて、LSDを賢くトレーニング計画に組み込むことが重要です。
3.1 週に何回?LSDの頻度と他の練習との組み合わせ
LSDを練習に取り入れる頻度は、ランニング経験やトレーニング目標によって異なります。一般的には週に1回から2回が目安とされていますが、他の練習(スピード練習、テンポ走、ロング走など)とのバランスを考慮することが大切です。LSDは疲労を蓄積しにくい練習のため、アクティブレストや回復走として活用することも可能です。
以下に、ランニングレベル別のLSDを含む週間の練習例を示します。
レベル | 練習日 | 練習内容の例 | LSDの目的 |
---|---|---|---|
初心者 (週2~3回練習) | 週1回 | LSD(30分~60分) | ランニング習慣の確立、基礎体力向上、長時間走ることに慣れる |
他の日 | 軽いジョギング、ウォーキング | ||
中級者 (週3~4回練習) | 週1回 | LSD(60分~90分) | 持久力向上、脂肪燃焼効率アップ、回復走、フォーム改善 |
他の日 | ペース走、インターバル走、ロングジョグ | ||
上級者 (週4~5回練習) | 週1~2回 | LSD(90分~120分以上) | ベース期の土台作り、アクティブレスト、毛細血管の増加、疲労抜き |
他の日 | インターバル走、テンポ走、スピード練習、ロング走 |
自身の体調や疲労度に合わせて、LSDの実施頻度や時間を調整しましょう。特にマラソン大会前など、特定の目標がある場合は、段階的にLSDの距離や時間を伸ばしていく計画的なトレーニングが有効です。
3.2 初心者から上級者まで LSDの活用法
LSDは、ランニングのレベルを問わず、あらゆるランナーにとって価値のある練習法です。それぞれのレベルに応じた活用法を理解することで、より効果的にトレーニングに取り入れることができます。
初心者ランナーのLSD活用法
- 目的: ランニング習慣の確立、基礎体力・心肺機能の向上、長時間運動への慣れ、正しいフォームの習得。
- 具体的な活用: まずは30分程度の短いLSDから始め、徐々に時間を延ばしていきます。会話ができるペースを意識し、無理なく継続できることを最優先します。LSDを通じて、身体がランニングに慣れることで、怪我のリスクを減らし、楽しく走る土台を築きます。
中級者ランナーのLSD活用法
- 目的: マラソン完走、サブ4などの目標達成、持久力のさらなる向上、脂肪燃焼効率の最適化、レース後半の粘り強さの獲得。
- 具体的な活用: 週に1回、60分から90分程度のLSDを継続的に行います。スピード練習やペース走で得た疲労を回復させつつ、心肺機能と毛細血管をさらに発達させ、マラソンで必要な長時間動き続ける能力を高めます。フォームの確認や、ランニングエコノミーの改善にも意識を向ける良い機会となります。
上級者ランナーのLSD活用法
- 目的: サブ3などの高レベルな目標達成、ベース期の土台作り、スピード練習間のアクティブレスト、毛細血管とミトコンドリアの最大化。
- 具体的な活用: シーズンオフやマラソン準備のベース期に、90分から120分以上のLSDを積極的に取り入れ、高いレベルでの持久力を構築します。また、インターバル走やテンポ走といった高強度の練習の間に、回復走としてLSDを組み込むことで、疲労を抜きながらも心肺機能を維持し、次の高強度練習への準備を整えます。LSDは、スピード練習だけでは得られない、身体の根本的な持久力と効率性を高める上で不可欠な練習です。
3.3 LSDの効果を最大化するポイントと注意点
LSDを効果的に行い、その恩恵を最大限に受けるためには、いくつかのポイントと注意点があります。これらを意識することで、より安全に、そして効率的にトレーニングを進めることができます。
3.3.1 ランニングウォッチやGPSの活用
LSDの最大のポイントである「遅いペース」を維持するためには、客観的な指標が非常に役立ちます。ランニングウォッチやGPSデバイスを活用することで、以下のメリットが得られます。
- ペース管理: リアルタイムで現在のペースを確認し、オーバーペースになるのを防ぎます。LSDでは、ついついペースが上がりやすい傾向があるため、ウォッチの表示を意識することが重要です。
- 心拍数モニタリング: 会話ができるペースに加えて、心拍数ゾーン(例:最大心拍数の60~70%程度)を確認することで、より正確に適切な運動強度を維持できます。心拍計機能付きのランニングウォッチは、LSDの効果的な実施に非常に有効です。
- 距離と時間の計測: 目標とする距離や時間を正確に計測し、トレーニングの記録を残すことができます。これにより、自身の進捗状況を把握し、次回のLSD計画に役立てることができます。
- データ分析: 走行データ(ペース、心拍数、距離、時間など)を記録・分析することで、体調の変化やトレーニング効果の推移を客観的に把握し、よりパーソナライズされたトレーニング計画を立てることが可能になります。
3.3.2 水分補給と栄養摂取
LSDは長時間にわたる運動であるため、適切な水分補給と栄養摂取が非常に重要です。これらを怠ると、脱水症状やエネルギー切れを起こし、体調不良やパフォーマンス低下につながる可能性があります。
- 水分補給:
- 走行前: 走り始める30分前までに、コップ1~2杯(200~400ml)程度の水を摂取し、身体を潤しておきましょう。
- 走行中: 30分~1時間に1回、100~200mlを目安に水分を補給します。水だけでなく、電解質を含むスポーツドリンクも有効です。特に夏場や長時間走る場合は、ハイドレーションパックやボトルポーチなどを活用し、こまめな補給を心がけましょう。
- 走行後: 失われた水分を補給するため、ゆっくりと時間をかけて水分を摂取します。体重の減少分を目安に、スポーツドリンクや水を飲みましょう。
- 栄養摂取(エネルギー補給):
- 走行前: 走る2~3時間前までに、消化の良い炭水化物を中心とした食事を摂ります。バナナ、おにぎり、パンなどが適しています。
- 走行中: 1時間以上のLSDを行う場合は、途中でエネルギーを補給することが推奨されます。エネルギージェル、羊羹、ドライフルーツ、小さなおにぎりなどを携帯し、30分~1時間ごとに20~30g程度の炭水化物を摂取する目安で補給しましょう。
- 走行後: 運動後30分以内(ゴールデンタイム)に、炭水化物とタンパク質をバランス良く摂取することで、疲労回復と筋肉の修復を促進します。プロテインドリンクやリカバリーフード、バランスの取れた食事が理想的です。
3.3.3 オーバートレーニングの回避
LSDは比較的身体への負担が少ない練習ですが、「遅い」ペースであっても長時間続けることで、疲労が蓄積し、オーバートレーニングにつながる可能性があります。オーバートレーニングは、パフォーマンスの低下だけでなく、怪我や体調不良の原因となるため、注意が必要です。
- オーバートレーニングの兆候:
- 慢性的な疲労感やだるさ。
- 睡眠の質の低下、不眠。
- 食欲不振。
- 安静時心拍数の上昇(朝起きた時に普段より高い)。
- 練習へのモチベーション低下。
- 風邪を引きやすくなるなど、免疫力の低下。
- 関節や筋肉の痛み、怪我の発生。
- 回避策:
- 十分な休息: 練習日以外はしっかり休養を取り、身体を回復させましょう。
- 質の良い睡眠: 7~8時間を目安に、質の良い睡眠を確保することが重要です。
- バランスの取れた食事: 必要な栄養素をバランス良く摂取し、身体の回復をサポートします。
- 体調管理: 自身の体調の変化に敏感になり、少しでも異変を感じたら練習内容を調整するか、休息を取る勇気を持ちましょう。
- 練習日誌の活用: 毎日の練習内容、距離、時間、体調、睡眠時間などを記録することで、オーバートレーニングの兆候を早期に発見しやすくなります。
- 無理な目標設定の回避: LSDであっても、急激な距離や時間の延長は避け、段階的に負荷を上げていくことが大切です。
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4. ランニングLSDでよくある疑問Q&A
4.1 LSDはどんなマラソン目標に有効?(サブ3、サブ4など)
LSD(Long Slow Distance)は、特定のタイム目標を持つランナーだけでなく、幅広いレベルのランナーにとって非常に有効な練習法です。その目的や活用方法は、ランナーの経験や目標によって異なります。
以下に、主要なマラソン目標とLSDの関連性について解説します。
マラソン目標 | LSDの主な効果と活用法 |
---|---|
完走を目指す初心者ランナー | 効果: 長時間動き続けるための基礎的な持久力とスタミナを養います。心肺機能が向上し、疲労しにくい体作りができます。ランニングフォームの安定にも繋がります。 活用法: まずは無理のないペースで、目標とするレース距離の半分程度の時間を走ることから始めましょう。完走に必要な自信と体力を着実に築けます。 |
サブ5・サブ4.5を目指すランナー | 効果: 脂肪を効率的にエネルギーとして利用する能力(脂肪燃焼効率)が高まります。これにより、レース後半の「壁」を乗り越えるためのエネルギー源を確保しやすくなります。毛細血管の発達により、筋肉への酸素供給能力も向上します。 活用法: 週に1回、目標レース距離の7割から8割程度の距離をLSDで走ることで、レース本番での持久力不足を解消し、ペース維持能力を高めます。 |
サブ4・サブ3.5を目指すランナー | 効果: 基礎的な持久力に加え、レースペースでのスタミナを支える土台を強化します。疲労回復能力を高め、より強度の高い練習(インターバル走やテンポ走など)を効果的に行える体を作ります。故障のリスク軽減にも繋がります。 活用法: LSDを定期的に取り入れ、疲労回復と基礎持久力の維持・向上を図りながら、他のスピード練習と組み合わせることで、目標達成に必要な総合的な走力を高めます。 |
サブ3を目指す上級ランナー | 効果: 高いレベルでの基礎持久力を維持・向上させるとともに、体への負担を抑えながら総走行距離を増やすことを可能にします。ミトコンドリアの増加を促し、エネルギー生成効率をさらに高めます。リカバリーランとしての役割も大きいです。 活用法: 練習メニューの基盤としてLSDを継続的に実施し、疲労困憊の状態での走り込みや、レースペースでのシミュレーションに耐えうる強靭な体を作り上げます。特に、疲労が蓄積しやすい時期にLSDを取り入れることで、オーバートレーニングを防ぎながらトレーニング量を確保できます。 |
LSDは、どのような目標を持つランナーにとっても、自身のランニング能力の土台を築き、怪我なく長く走り続けるために不可欠な練習法と言えるでしょう。
4.2 LSDは飽きやすい?モチベーションを維持する方法
LSDは「ゆっくり長く走る」という特性上、単調に感じてしまい、飽きやすいと感じるランナーも少なくありません。しかし、いくつかの工夫をすることで、モチベーションを維持し、LSDを継続的に楽しむことができます。
4.2.1 環境を変えて気分転換を図る
ランニングコースの変更: いつも同じ道を走るのではなく、公園、河川敷、景色の良い海岸線、少し起伏のあるコースなど、様々な場所を走ってみましょう。新しい景色は気分転換になり、飽きを防ぎます。
時間帯を変える: 早朝の澄んだ空気の中を走る、夕焼けを見ながら走るなど、時間帯を変えるだけでも新鮮な気持ちで走れます。特に早朝は交通量も少なく、集中しやすい環境です。
4.2.2 五感を活用してLSDを豊かにする
音楽やポッドキャスト、オーディオブック: お気に入りの音楽を聴いたり、興味のあるポッドキャストやオーディオブックを聴きながら走ることで、時間の経過を早く感じさせ、集中力を高めることができます。ただし、周囲の音も聞こえるように音量には注意しましょう。
瞑想的なランニング: あえて何も聞かずに、自分の呼吸や足音、周囲の自然の音に意識を集中させることで、瞑想のような効果を得られることがあります。心と体の繋がりを感じ、リフレッシュできます。
4.2.3 目標設定と可視化でモチベーションを維持する
LSDの目的を明確にする: 「今日は脂肪燃焼を意識する」「心肺機能を高めるために呼吸に集中する」など、その日のLSDの具体的な目的を意識することで、漫然と走るのを防ぎます。
ランニングウォッチやアプリを活用: 走行距離、時間、ペース、心拍数などのデータを記録し、可視化することで、自身の成長を実感できます。目標達成の喜びや、継続による体力向上を数値で確認できると、次へのモチベーションに繋がります。
ご褒美を設定する: LSDを終えた後に、美味しいコーヒーを飲む、好きな入浴剤で半身浴をするなど、小さなご褒美を設定することで、LSDへの意欲を高めることができます。
4.2.4 仲間と一緒にLSDを楽しむ
グループランニング: 友人やランニング仲間と一緒にLSDを行うことで、会話を楽しみながら走ることができます。一人では長く感じられる時間も、仲間と一緒ならあっという間に過ぎるものです。お互いに励まし合うことで、モチベーションの維持にも繋がります。
ランニングイベントへの参加: LSDの要素を取り入れたファンランや、景色を楽しむことを目的としたイベントに参加するのも良いでしょう。レースとは異なる雰囲気の中で、純粋に走ることを楽しめます。
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5. まとめ
LSD(Long Slow Distance)は、ゆっくりとしたペースで長く走ることで、心肺機能の向上、脂肪燃焼効率の最適化、毛細血管やミトコンドリアの増加を促す、まさに「遅いのに速くなる」驚きの練習法です。この基礎能力の向上こそが、マラソンでのサブ3やサブ4といった目標達成、さらには怪我の予防にも繋がります。適切なペースと時間を守り、継続して取り組むことで、あなたのランニングライフは確実に豊かなものとなるでしょう。