SUPを始めたいけれど、どんな用品が必要か、選び方が分からず困っていませんか?この記事を読めば、SUP初心者の方が安心してSUPを楽しめるよう、ボード、パドル、ライフジャケットといった基本用品から、あると便利なグッズまで、失敗しない選び方を徹底解説します。予算別のマストバイアイテムも具体的にご紹介するので、あなたにぴったりのSUP用品が必ず見つかります。これさえ読めば、迷うことなく最高のSUPデビューを飾れるはずです。
1. これが基本 SUPボード 初心者向けモデルの見極め方
SUP(スタンドアップパドルボード)を始めるにあたり、最も重要なのが自分に合ったボード選びです。特に初心者の場合、安定性と操作性を兼ね備えたモデルを選ぶことが、上達への近道となります。ここでは、SUPボードの種類から、具体的な選び方のポイント、そしておすすめのブランドまで、初心者の方が後悔しないボード選びができるよう徹底解説します。
1.1 インフレータブルSUPのメリットとデメリット
SUPボードには、空気を注入して使用する「インフレータブルSUP」と、サーフボードのように硬い素材でできた「ハードボード」の2種類があります。初心者の多くには、持ち運びや収納の利便性、安全性の高さからインフレータブルSUPが強く推奨されます。その理由をメリットとデメリットに分けて見ていきましょう。
項目 | インフレータブルSUPのメリット | インフレータブルSUPのデメリット |
---|---|---|
携帯性・収納性 | 空気を抜けばコンパクトに収納でき、車での持ち運びや自宅での保管が容易です。専用のバッグに収納して公共交通機関で移動することも可能です。 | 準備や片付けの際に空気の注入・排出作業が必要です。手動ポンプの場合、ある程度の労力がかかります。 |
安全性 | ボード全体が柔らかいため、万が一ぶつかっても衝撃が少なく、自分や周囲の人、またはボード自体の怪我や損傷のリスクが低減されます。 | ハードボードに比べて、漕ぎ出しのスピードや滑走性能は劣る傾向があります。波乗りやレースなど、より高度なパフォーマンスを求める場合には物足りなさを感じるかもしれません。 |
耐久性 | 高品質なインフレータブルSUPは、岩や浅瀬に接触しても傷つきにくく、比較的高い耐久性を持っています。PVC素材の多層構造により、パンクのリスクも低減されています。 | 使用後はしっかり乾燥させないとカビや異臭の原因になることがあります。特に海水で使用した場合は真水で洗い流すなどのメンテナンスが必要です。 |
安定性 | 厚みがあり浮力が高いため、初心者でも比較的安定して立ちやすい設計のモデルが多いです。ボード全体が空気で満たされているため、水面での浮遊感が自然で安心感があります。 | 気温の変化によってボード内の空気圧を調整する必要があります。空気圧が低いと安定性が損なわれ、高すぎると破損の原因になることがあります。 |
価格 | ハードボードに比べて、手頃な価格帯のモデルが豊富に揃っています。パドルやポンプ、リーシュコードなどがセットになった初心者向けパッケージも多く、初期費用を抑えられます。 |
これらの特性から、持ち運びや保管の利便性を重視し、安全にSUPを始めたい初心者の方にはインフレータブルSUPが最適と言えるでしょう。
1.2 安定性と操作性を両立するSUPボードの選び方
インフレータブルSUPの中でも、安定性と操作性のバランスはモデルによって大きく異なります。初心者が快適にSUPを楽しむためには、以下のポイントを考慮してボードを選ぶことが重要です。
1.2.1 体格と経験レベルに合わせた浮力と積載量
SUPボードの浮力は、ボードの長さ、幅、厚みによって決まります。自分の体重だけでなく、将来的に荷物を載せる可能性や、二人乗りをする可能性も考慮し、十分な浮力を持つボードを選びましょう。一般的に、体重の約2倍の浮力(リットル)があるボードが安定しやすいとされています。例えば、体重60kgの方であれば、120リットル以上の浮力があるボードが目安です。浮力が高いほど安定感が増し、安心して楽しめます。
1.2.2 長さ・幅・厚みがもたらす安定性と操作性
ボードのサイズは、安定性と操作性に直結します。初心者は、まず安定性を重視した広めのボードから始めるのがおすすめです。それぞれの要素がどのように影響するかを見ていきましょう。
要素 | 特徴 | 初心者におすすめの目安 |
---|---|---|
長さ | 長いボードほど直進安定性が増し、一度スピードに乗ると漕ぎ続けるのが楽になります。一方で、小回りが利きにくく、持ち運びや保管の際に場所を取ります。短いボードは小回りが利き、操作性が上がりますが、直進安定性は劣ります。 | 300cm~330cm(10フィート~11フィート)程度が、安定性と操作性のバランスが良くおすすめです。この範囲であれば、湖や穏やかな海でのクルージングに適しており、ある程度のスピードも楽しめます。 |
幅 | ボードの幅が広いほど、水面に対する接地面が大きくなり、安定性が格段に高まります。しかし、幅が広すぎるとパドルを漕ぐ際にボードの縁に当たりやすくなり、漕ぎ出しのスピードは落ちます。狭いボードはスピードが出やすいですが、安定性は低くなります。 | 78cm~85cm(31インチ~33インチ)程度が、初心者にとって十分な安定性を提供します。特に初めてSUPに乗る方や、ヨガなどのアクティビティも楽しみたい方は、80cm以上の幅を選ぶと安心です。 |
厚み | ボードの厚みは浮力に直結します。厚いボードほど浮力が増し、安定性が高まります。また、ボードの上に立ったときに水面から足が離れるため、水が入り込みにくくなります。薄いボードは水面との距離が近くなり、操作性が向上しますが、浮力は減少します。 | 12cm~15cm(5インチ~6インチ)程度が一般的です。特に体重がある方や、荷物を積む予定がある場合は、15cm厚のボードを選ぶとより安心感があります。 |
これらのサイズはあくまで一般的な目安です。実際に店舗で相談したり、レンタルで試乗したりして、自分の体格や用途に合ったサイズを見つけるのが理想的です。
1.2.3 ボードの形状とフィンシステム
SUPボードには、主に「オールラウンド」「ツーリング」「レース」「ウェーブ」などの形状があります。初心者がまず選ぶべきは、様々な用途に対応できる「オールラウンド」タイプです。オールラウンドボードは、幅が広く、ノーズ(先端)とテール(後端)が丸みを帯びた形状が多く、安定性に優れているため、湖でのクルージングから穏やかな波乗りまで幅広く楽しめます。
フィンはボードの直進安定性を高める役割があります。インフレータブルSUPでは、主にシングルフィン(中央に大きなフィンが1枚)とトライフィン(中央に1枚、両サイドに小さなフィンが2枚)が主流です。初心者は、安定性が高く、小回りが利きやすいトライフィンシステムがおすすめです。取り外し可能なフィンであれば、収納時にも便利で、破損のリスクも低減できます。
1.2.4 高品質な素材と構造
インフレータブルSUPの品質は、使用されている素材と構造によって大きく左右されます。耐久性の高いPVC(ポリ塩化ビニル)素材と、ボード内部の形状を保つ「ドロップステッチ」と呼ばれる製法が用いられているかを確認しましょう。高品質なボードは、高圧(15psi以上)に耐えることができ、まるでハードボードのような硬さと安定感を提供します。また、デッキパッドの素材や、Dリング(荷物固定用)の配置なども、使いやすさに影響するためチェックポイントです。
1.3 人気のSUPボードブランドとおすすめラインナップ
SUPボードは様々なブランドから販売されており、それぞれ特徴があります。ここでは、日本国内で特に人気があり、初心者にもおすすめできるブランドをいくつかご紹介します。具体的なモデル名は時期によって変動するため、各ブランドの初心者向け「オールラウンド」モデルに注目して選んでみてください。
ブランド名 | 特徴と初心者向けモデルの傾向 |
---|---|
AQUA MARINA (アクアマリーナ) | 世界的に有名なブランドで、コストパフォーマンスに優れたモデルが豊富です。初心者向けの「オールラウンド」モデルは、安定性を重視した幅広いデザインが多く、手軽にSUPを始めたい方におすすめです。必要なアクセサリーが一通り揃ったセット販売も充実しています。 |
Red Paddle Co (レッドパドルカンパニー) | イギリス発の高品質ブランドで、高い剛性と耐久性が特徴です。独自のMSL融合複合技術により、インフレータブルでありながらハードボードに近い乗り心地を実現しています。少し予算を上げてでも品質と性能にこだわりたい初心者の方に適しています。 |
Z-RAY (ジーレイ) | 手頃な価格帯でありながら、品質と性能のバランスが良いと評判のブランドです。エントリーモデルでも十分な安定性と操作性を備えており、初めてのSUPボードとして安心して選べます。デザイン性も高く、幅広いユーザーに支持されています。 |
BIC SPORT / TAHE (ビックスポーツ / タヘ) | 元々ウィンドサーフィンなどで実績のあるブランドで、近年は「TAHE」として展開されています。耐久性の高い素材を使用し、幅広いラインナップが魅力です。初心者向けのオールラウンドボードは、信頼性と安定感に優れており、長く愛用できるボードを探している方におすすめです。 |
STARBOARD (スターボード) | SUP界のトップブランドの一つで、革新的な技術と高性能なボードを数多く生み出しています。初心者向けモデルも、最新のテクノロジーが投入されており、安定性とパフォーマンスを高いレベルで両立しています。環境への配慮にも力を入れているブランドです。 |
これらのブランド以外にも、魅力的なSUPボードは多数存在します。購入を検討する際は、複数のブランドのモデルを比較検討し、自分の予算や求める性能に合ったものを選ぶようにしましょう。特に、パドルやポンプ、リーシュコードなどが一通り揃ったセット販売されている初心者向けパッケージは、個別に購入するよりもお得な場合が多いのでおすすめです。
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2. パドルとリーシュコード SUP用品の基本を抑える
SUPを安全に、そして快適に楽しむために、SUPボード本体と同じくらい重要なのが「パドル」と「リーシュコード」です。これらはSUP体験の質を大きく左右するだけでなく、万が一の事故を防ぐための命綱ともなり得ます。ここでは、SUP初心者が知っておくべき、パドルとリーシュコードの選び方と重要性について詳しく解説します。
2.1 初心者にとって最適なパドルの素材と長さ
SUPパドルは、水面を進むための推進力を生み出すだけでなく、バランスを取るためにも使われる重要な道具です。素材や長さによって使い心地が大きく変わるため、自分に合ったものを選ぶことが上達への近道となります。
2.1.1 パドルの素材による特徴
素材 | 特徴 | 初心者へのおすすめ度 |
---|---|---|
アルミ | 安価で丈夫なため、最初の1本として手に取りやすい素材です。しかし、比較的重く、長時間使用すると腕への負担が大きくなることがあります。 | 高(コストを抑えてSUPを始めたい場合) |
グラスファイバー | アルミより軽量で、適度なしなりがあるため漕ぎやすく、疲れにくいのが特徴です。価格と性能のバランスが良く、多くのSUP愛好者に選ばれています。 | 高(快適性とコストのバランスを求める場合) |
カーボン | 非常に軽量で剛性が高く、効率よく推進力を得られるため、長距離クルージングやレースに適しています。価格は高めですが、最高のパフォーマンスを求める方に最適です。 | 中(上達後、より本格的に楽しみたい場合) |
SUP初心者の場合、まずは扱いやすくコストパフォーマンスに優れたアルミ製か、漕ぎやすさも考慮したグラスファイバー製がおすすめです。特にグラスファイバー製は、長くSUPを楽しみたい方にとって満足度の高い選択となるでしょう。
2.1.2 パドルの適切な長さの選び方
パドルの長さは、身長やSUPのスタイルによって調整が必要です。一般的に、静水域でのクルージングの場合、自分の身長にプラス15cm~20cm程度が目安とされています。パドルを垂直に立てて、ブレードの先端が水面につく状態で、グリップが頭上を少し超えるくらいが理想的です。
初心者の場合は、長さが調整できる「アジャスタブルパドル」を選ぶことを強くおすすめします。これなら、様々な体格の人が使用できるだけでなく、SUPの経験を積む中で自分にとって最適な長さを探すことができます。また、座って漕ぐ時や、波のある場所で使う時など、状況に応じて長さを変えられるメリットもあります。
パドルには、長さが固定されたワンピースタイプ、持ち運びや収納に便利なツーピースやスリーピースの分割式パドルがあります。インフレータブルSUPと合わせて使う場合は、分割式パドルを選ぶと、よりコンパクトにまとめて持ち運ぶことができます。
2.2 万が一に備えるリーシュコードの選び方と重要性
リーシュコードは、SUPボードと自分自身を繋ぎ、万が一ボードから落ちた際にボードが流されてしまうのを防ぐための非常に重要な安全装備です。特に初心者はボードから落ちる可能性が高いため、必ず装着するようにしましょう。リーシュコードは命綱であり、ボードの流失を防ぐことで周囲の船舶や他の利用者への危険も回避します。
2.2.1 リーシュコードの種類と選び方
種類 | 特徴 | 推奨される使用水域 | 初心者へのおすすめ度 |
---|---|---|---|
コイルリーシュ | コードがコイル状になっており、通常時は短く縮んでいて絡まりにくいのが特徴です。 | 静水域(湖、穏やかな湾内、波のない海) | 高 |
ストレートリーシュ | コードが一直線に伸びるタイプで、主に波乗りSUPやサーフィンで使用されます。 | 波のある海 | 低(SUPサーフィンをしない場合) |
ウエストリーシュ | 腰に装着し、緊急時に素早くリリースできるクイックリリース機能を持つタイプです。 | 流れのある川、人通りの多い水域 | 中(特定の水域で安全性を高めたい場合) |
SUP初心者が静水域(湖や穏やかな海)で楽しむ場合は、ボードに足が絡まるリスクが少ない「コイルリーシュ」が最もおすすめです。足首に装着するアンクルリーシュや、膝下に装着するカーフリーシュが一般的です。
川下りなど、流れのある場所でSUPをする場合は、万が一の際にボードから素早く離れることができる「ウエストリーシュ」が強く推奨されます。これは、ボードが流木や岩などに引っかかった際に、自分も一緒に巻き込まれる事故を防ぐためです。ウエストリーシュには、緊急時にコードを簡単にリリースできるクイックリリース機能が備わっていることが重要です。
2.2.2 リーシュコード装着のポイント
リーシュコードの長さは、一般的にボードの長さと同じか、少し長めが目安とされています。短すぎるとボードが近くに来すぎて危険な場合があり、長すぎると水中で絡まるリスクが高まります。
装着する際は、足首や膝下にしっかりとフィットさせ、ボードのリーシュプラグに確実に接続されていることを確認しましょう。リーシュコードの接続部には、コードが絡みにくくするスイベル(回転する金具)が付いているものが多く、これらがスムーズに動くかも確認しておくと良いでしょう。
使用前には、コードに損傷がないか、接続部が劣化していないかなども確認し、安全にSUPを楽しむ準備を整えましょう。
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3. 安全は最優先 ライフジャケットの選び方と重要性
SUPを安全に楽しむ上で、ライフジャケットは最も重要な用品です。SUPは水上で行うスポーツであり、落水のリスクは常に伴います。万が一の事態に備え、適切なライフジャケットを着用することは、命を守るために不可欠です。
特にSUP初心者は、パドル操作に慣れていない、バランスを崩しやすいといった理由から、落水のリスクが高まります。また、予期せぬ天候の変化や体調不良など、様々な状況でライフジャケットが命綱となります。水に落ちた際に体温の低下を防ぎ、体力を温存するためにも、ライフジャケットの着用は必須と心得ましょう。
3.1 ライフジャケットの浮力とフィット感
ライフジャケットを選ぶ上で、最も重要な要素は「浮力」と「フィット感」です。
3.1.1 浮力の重要性
ライフジャケットの浮力は「N(ニュートン)」という単位で表示されます。一般的に、成人男性には7.5kg(75N)以上の浮力があるものが推奨されます。この浮力があれば、水中で頭部を水面上に保ち、呼吸を確保することができます。自身の体重と体格に合った浮力があるかを確認しましょう。
特にSUP初心者の場合、万が一の落水時に冷静に対応できるよう、十分な浮力を持つ製品を選ぶことが大切です。また、着用するウェアの厚みなども考慮し、余裕を持った浮力があるものを選ぶとより安心です。
3.1.2 フィット感の確認
ライフジャケットは、ただ着用するだけでなく、体にしっかりとフィットしていることが重要です。フィット感が悪いと、落水時にライフジャケットがずれたり、脱げてしまったりする可能性があります。試着の際には、以下の点を確認しましょう。
- 肩や脇の下に隙間が開きすぎていないか
- ベルトやストラップを締めたときに、締め付けが適切か
- 腕を動かしたときに、動きが妨げられないか
- しゃがんだり、SUPの動作を模倣したりして、不快感がないか
特にSUPは体を動かすスポーツであるため、動きやすさも考慮に入れる必要があります。ただし、動きやすさだけを優先してフィット感を犠牲にしないよう注意が必要です。体の動きを妨げず、かつしっかりと体に固定されるものを選びましょう。
3.2 法規制と推奨されるライフジャケット
日本国内におけるSUPのライフジャケット着用には、特定の法規制と推奨事項があります。これらを理解し、適切なライフジャケットを選ぶことが安全なSUP活動の前提となります。
3.2.1 小型船舶安全規則と着用義務
SUPは、その使用形態によっては「特定小型船舶」に該当し、小型船舶安全規則の対象となる場合があります。この規則では、特定小型船舶の操縦者および同乗者に対して、国土交通省型式承認品(いわゆる「桜マーク」付き)のライフジャケットの着用が義務付けられています。
SUPの場合、推進機関(エンジンやモーター)を使用しないため、原則として着用義務の対象外となることが多いです。しかし、一部の湖や河川、海洋では、各地域の条例や管理者の指示により着用が義務付けられている場合もあります。また、たとえ法的な義務がなくても、水上での活動においては常に安全を最優先し、ライフジャケットを着用することが強く推奨されます。
3.2.2 「桜マーク」の重要性
「桜マーク」とは、国土交通省の定める安全基準を満たしたライフジャケットにのみ付与される型式承認マークです。このマークがあるライフジャケットは、国の厳しい安全基準をクリアしていることを示しており、高い信頼性があります。
桜マークにはAタイプからDタイプまでの種類があり、それぞれ適用される航行区域や船舶の種類が異なります。SUP初心者が選ぶべきは、以下のいずれかのタイプが推奨されます。
桜マークのタイプ | 特徴と推奨理由 |
---|---|
タイプA | 全ての小型船舶に適用可能で、最も安全基準が高いタイプです。航行区域を問わず使用でき、最も安心感があります。固型式と膨張式(自動膨張・手動膨張)があります。 |
タイプG | 水上オートバイ用として承認されたタイプですが、SUPでも使用可能です。水上での活動に特化した設計で、動きやすさも考慮されています。 |
法的な義務がない場合でも、万が一の事故の際に救助活動の対象となるためには、桜マーク付きのライフジャケットを着用していることが推奨されます。特に、海や広い湖など、救助に時間がかかる可能性のある場所でSUPを楽しむ場合は、必ず桜マーク付きのライフジャケットを選びましょう。
3.2.3 初心者におすすめのライフジャケットの種類
ライフジャケットには大きく分けて「固型式」と「膨張式」の2種類があります。
- 固型式ライフジャケット:
浮力材が内蔵されており、常に浮力を発揮するタイプです。着用するだけで浮力が確保されるため、初心者や泳ぎに自信がない方には特におすすめです。耐久性が高く、メンテナンスも比較的容易ですが、かさばりやすく、動きが多少制限されることもあります。
- 膨張式ライフジャケット:
通常時はコンパクトですが、落水時や手動操作でガスボンベが作動し、自動的に膨張して浮力を得るタイプです。動きやすさに優れ、SUPの操作を妨げにくいのが特徴です。ただし、ガスボンベの交換や定期的な点検が必要であり、初心者が扱うには少し注意が必要です。万が一の誤作動や不作動のリスクも考慮し、確実な固型式から始めるのが安心です。
SUP初心者は、まずは固型式ライフジャケットから始めることを強く推奨します。常に浮力を確保できる安心感は、水上での自信にもつながります。慣れてきて、より動きやすさを求めるようになったら、膨張式も検討すると良いでしょう。
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4. SUP初心者の体験を豊かにする便利グッズ
SUPを始めるにあたり、基本となるボード、パドル、リーシュコード、ライフジャケットは必須ですが、さらに快適で安全な体験を追求するためには、いくつかの便利グッズが役立ちます。準備の時間を短縮したり、大切な荷物を守ったり、水上での快適性を高めたりするアイテムを知ることで、SUPの楽しみ方が一層広がります。
4.1 電動ポンプで準備の時間を短縮
インフレータブルSUPボードの最大のメリットは持ち運びの便利さですが、手動ポンプでの空気入れはかなりの労力を要し、時間もかかります。そこで活躍するのが電動ポンプです。電動ポンプがあれば、準備の時間を大幅に短縮し、体力温存にも繋がります。
電動ポンプには主にバッテリー内蔵型と車のシガーソケットから給電するタイプがあります。使用する場所や電源の確保状況に合わせて選びましょう。設定した圧力(PSI/bar)に達すると自動で停止する機能や、空気の抜き取り(デフレート)機能が付いているものもあります。
タイプ | メリット | デメリット | 選び方のポイント |
---|---|---|---|
バッテリー内蔵型 | 電源がない場所でも使用可能、コードレスで取り回しが楽 | 充電が必要、価格がやや高め、バッテリー残量に注意 | 充電時間、連続使用時間、対応圧力、携帯性 |
シガーソケット給電型 | 車の電源があれば充電不要、比較的安価 | 車の近くでしか使えない、コードの取り回しが必要 | 対応圧力、コードの長さ、車のバッテリーへの負荷 |
選び方のポイントとしては、SUPボードの推奨空気圧に対応しているか、空気注入のスピード、持ち運びやすさ、そして静音性なども考慮すると良いでしょう。特に自動停止機能は、空気の入れすぎを防ぎ、ボードを保護するためにも重要です。
4.2 水辺での必需品 防水バッグとスマホケース
水上アクティビティであるSUPでは、貴重品や電子機器の水濡れ対策が不可欠です。防水バッグや防水スマホケースは、大切な荷物を水から守り、安心してSUPを楽しむための必需品と言えます。
4.2.1 防水バッグ(ドライバッグ)
防水バッグは、衣類、タオル、財布、鍵などの貴重品を水から守るために使用します。素材はPVCやターポリンなどが一般的で、ロールトップ式で開口部をしっかり閉じることで高い防水性を発揮します。容量は、日帰りであれば10L~20L程度が使いやすいでしょう。
- ドライバッグの選び方:
- 容量: 持ち運びたい荷物の量に合わせて選びます。小物を入れるなら5L程度、着替えなども入れるなら10L~20Lが目安です。
- 素材: 耐久性があり、破れにくいPVCやターポリン製がおすすめです。
- 開閉方式: ロールトップ式が最も一般的で、高い防水性があります。
- 持ち運びやすさ: ショルダーストラップや持ち手が付いていると便利です。
4.2.2 防水スマホケース
スマートフォンは、写真撮影や緊急時の連絡手段としてSUPに持っていくことが多いですが、水濡れによる故障のリスクが伴います。防水スマホケースは、スマートフォンを水から守り、水上での操作や撮影を可能にします。
- 防水スマホケースの選び方:
- 防水性能(IPX等級): 水中での使用を想定するならIPX8など、より高い等級を選びましょう。
- 操作性: ケースに入れたままでもタッチパネルがスムーズに操作できるか確認しましょう。
- 浮力: 水中に落としても沈まないフローティングタイプや、ストラップ付きのものが紛失防止に役立ちます。
- サイズ: ご自身のスマートフォンのサイズに合ったものを選びましょう。
これらの防水グッズを適切に活用することで、水上でのトラブルを未然に防ぎ、より快適にSUPを満喫できます。
4.3 快適に楽しむためのウェア ウェットスーツ、ラッシュガード
SUPを快適に楽しむためには、季節や水温、天候に応じた適切なウェア選びが重要です。体温調節、紫外線対策、擦れ防止といった観点から、ウェットスーツやラッシュガードは欠かせないアイテムです。
4.3.1 ウェットスーツ
ウェットスーツは、主に水温が低い時期や、風が強い日に体温の低下を防ぐために着用します。体とスーツの間に薄い水の膜を作り、その水が体温で温められることで保温効果を発揮します。
- ウェットスーツの種類と選び方:
- 厚さ: 季節や水温によって選びます。一般的に、夏は2mm、春・秋は3mm、冬は5mm程度が目安です。
- タイプ:
- フルスーツ: 全身を覆うタイプで、最も保温性が高いです。
- シーガル: 半袖長ズボンタイプで、春から秋口に適しています。
- ロングジョン: 袖なし長ズボンタイプで、動きやすく、重ね着もしやすいです。
- タッパー: 半袖または長袖のトップスのみで、軽度な保温や日焼け対策に。
- フィット感: 体にしっかりフィットすることが重要です。緩すぎると保温性が低下し、きつすぎると動きが制限されます。
4.3.2 ラッシュガード
ラッシュガードは、主に夏の暖かい時期や日差しが強い日に着用します。紫外線から肌を守るUVカット機能、速乾性、擦れ防止といった効果があります。
- ラッシュガードの選び方:
- UVカット機能: UPF値が高いものを選びましょう。
- 速乾性: 水に濡れてもすぐに乾く素材が快適です。
- フィット感: ゆったりとしたものからタイトなものまでありますが、水上での動きやすさを考慮して選びましょう。
- デザイン: 長袖、半袖、フード付きなど、用途や好みに合わせて選びます。
その他、日差しが強い日は帽子やサングラス、水着の上に着用するボードショーツなども準備しておくと、より快適にSUPを楽しめます。季節や天候、個人の体感温度に合わせて最適なウェアを選び、安全で快適なSUP体験を追求しましょう。
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5. 予算で選ぶ SUP用品マストバイアイテム
SUPを始めるにあたり、初期費用は気になるポイントの一つです。ここでは、ご自身の予算とSUPへの熱意に合わせて最適な用品選びができるよう、予算帯別にマストバイアイテムをご紹介します。ご自身のスタイルに合ったセットを見つけて、最高のSUPライフをスタートさせましょう。
5.1 コスパ重視 5万円から始めるSUP用品セット
「まずはSUPを体験してみたい」「予算を抑えて手軽に始めたい」という方には、5万円前後で購入できるエントリーモデルのセットがおすすめです。この価格帯では、SUPを始めるために必要な基本的なアイテムが一通り揃っていることが多く、手軽に水辺でのアクティビティを楽しめます。
主にインフレータブルSUPボードが中心となり、安定性を重視したオールラウンドタイプが一般的です。手動ポンプや収納バッグ、リペアキットなども含まれていることが多く、購入後すぐにSUPを始めることができます。ただし、パドルはアルミ製で重め、ライフジャケットは別途購入が必要な場合もあるため、セット内容をよく確認しましょう。
アイテム | 特徴 | 主なブランド例 |
---|---|---|
SUPボード | 安定性重視のインフレータブルボード(オールラウンドタイプ) | アクアマリーナ(VAPORなど)、サウスポイント、国内スポーツ用品店オリジナル |
パドル | アルミ製、長さ調整可能(やや重め) | セット付属 |
ポンプ | 手動ポンプ(シングルアクションまたはダブルアクション) | セット付属 |
リーシュコード | コイルタイプまたはストレートタイプ | セット付属 |
収納バッグ | 背負えるタイプ(簡易的) | セット付属 |
ライフジャケット | 別途購入を推奨(安価なフローティングベストも選択肢に) | ブルーストーム、リバレイなど |
この価格帯のセットは、SUPの基本的な操作を覚えるのに十分な性能を持っています。まずはここから始めて、SUPの楽しさを実感してください。
5.2 快適さを追求 10万円台のおすすめSUP用品
SUPの楽しさを知り、「もう少し本格的に、そして快適に楽しみたい」と感じ始めた方には、10万円台の用品がおすすめです。この価格帯では、ボードの性能や付属品の品質が向上し、より快適で安定したSUP体験が可能になります。
ボードはインフレータブルが主流ですが、より高圧に膨らませられる高剛性なモデルや、軽量化されたモデルが増えます。パドルもグラスファイバー製など、軽量で操作性の良いものが選択肢に入り、長時間のパドリングでも疲れにくくなります。また、電動ポンプや高品質な防水バッグなど、利便性を高めるアイテムも揃えやすくなります。
アイテム | 特徴 | 主なブランド例 |
---|---|---|
SUPボード | 高剛性・軽量化されたインフレータブルボード(オールラウンド、ツーリングタイプ) | アクアマリーナ(FUSION、MONSTERなど)、レッドパドル(RIDEなど)、スターボード(iGOなど) |
パドル | グラスファイバー製またはカーボン混合製、軽量で操作性良好 | アクアマリーナ、レッドパドル、スターボード純正、独立ブランド |
ポンプ | 電動ポンプ(バッテリー内蔵型も選択肢に) | シガーソケット式、バッテリー式 |
リーシュコード | 足首または膝用、信頼性の高いブランド製 | FCS、O&Eなど |
ライフジャケット | 浮力が高く、フィット感に優れたタイプ(PFD Type III相当) | ブルーストーム、モンベル、パズデザインなど |
防水バッグ | 大容量で耐久性の高いドライバッグ | オーバーボード、モンベルなど |
ボードの安定性やパドルの操作性が向上することで、より遠くへツーリングしたり、SUPヨガやフィッシングなど、様々なアクティビティに挑戦する幅が広がります。
5.3 品質にこだわる 15万円以上の本格SUP用品
SUPに深く魅了され、「最高のパフォーマンスと耐久性を求める」「特定の用途に特化したボードが欲しい」という方には、15万円以上の本格的な用品をおすすめします。この価格帯では、素材や製造技術にこだわった高品質なアイテムが手に入り、SUPの可能性を最大限に引き出すことができます。
ボードは、高剛性を実現するダブルチャンバー構造やフュージョン製法を採用したインフレータブルボード、またはハードボード(エポキシ樹脂製など)が選択肢に入ります。パドルは軽量で推進力に優れたフルカーボン製が主流となり、長距離のツーリングやレース、ウェーブSUPなどでその真価を発揮します。アクセサリーも専用設計のものが増え、より快適で安全なSUP体験を追求できます。
アイテム | 特徴 | 主なブランド例 |
---|---|---|
SUPボード | 高剛性インフレータブルボード(ダブルチャンバー、フュージョン製法)またはハードボード(ツーリング、レース、ウェーブ用など) | レッドパドル(SPORT、VOYAGERなど)、スターボード(TOURING、ALL STARなど)、NSP(O2 SERIESなど)、JPオーストラリア |
パドル | フルカーボン製、超軽量で高効率なパドリングを実現 | レッドパドル、スターボード、NSP、クイックブレード、KIALOAなど |
ポンプ | 大容量バッテリー内蔵の高性能電動ポンプ | ブラボー、タバタなど |
リーシュコード | 耐久性・安全性に優れたプロ仕様 | FCS、O&E、ダカインなど |
ライフジャケット | 動きやすさと浮力を両立した高性能モデル、インフレータブルタイプも選択肢に | ブルーストーム、パズデザイン、モンベルなど |
その他 | フィン、防水ウェア、専用キャリーカートなど | 各ブランド純正品、専門メーカー |
この価格帯の用品は、SUPの性能を最大限に引き出し、より高度な技術や特定のフィールドでの楽しみ方を追求したい方に最適です。適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたり最高のパフォーマンスを維持できます。
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6. まとめ
SUPを安全に、そして最大限に楽しむためには、適切な用品選びが不可欠です。この記事では、SUP初心者の方でも安心して始められるよう、ボードの選び方から安全装備、便利な周辺アイテムまで、予算別に詳しく解説しました。安定性を重視したボード、適切な浮力のライフジャケット、そして予算に合わせたセットを選ぶことで、SUPデビューはもっと簡単で楽しいものになります。ぜひこのガイドを参考に、自分にぴったりのSUP用品を見つけて、水上での素晴らしい体験を始めてください。